オープンソース

PowerDNSの管理WEBインタフェース

PowerDNSは、バックエンドにデータベースを利用できることや、HTTP APIが整備されていることから、専用の管理Webインタフェースが複数開発されています。この記事では、PowerDNSをWeb画面から管理できるソフトウェアとして、PowerDNS-Admin、powerdns-webui、Poweradminを紹介します。

PowerDNS-Admin

PowerDNS-Adminは、GitHubで最も人気のあるPowerDNSの管理UIです。PowerDNS-Adminは、非常に多機能といわれており、ゾーン管理はもちろんPDNSサーバの設定情報や統計情報の閲覧をすることができます。また、ユーザのログイン時にLDAP認証やSSO認証をすることやユーザの操作履歴を保存することも可能です。

PowerDNSの管理UI

PowerDNS-Adminの主な機能

PowerDNS-Adminの主な機能は次の通りです。

  • ゾーン管理機能
    • ゾーンの追加・編集・削除
    • ゾーンの操作可能ユーザの設定
    • ゾーンのテンプレートの作成・テンプレートからのゾーン作成
    • ゾーンの変更履歴の保持
    • 利用するレコードの取捨選択
  • pdns サーバ管理
    • pdns の設定情報の閲覧
    • pdns の統計情報の閲覧
  • ユーザの管理
    • ユーザの管理
    • LDAP 認証対応
    • OIDC 等によるSSO対応
    • ユーザの操作履歴の保存・閲覧

PowerDNS-Adminの注意点

多機能なPowerDNS-Adminですが、以下の注意点があります。

英語で利用が必須

多言語化されていないため、デフォルトの英語での利用が必須となります。現状は、多言語化する機能もありません。

DNSSECに関する設定が行えない

他のPowerDNSのGUIソフトウェアでは、DNSSECの有効化や無効化を行うことができますが、PowerDNS-Adminでは現状できません。

1ゾーンに数万件のレコードがある場合、画面表示ができないことがある

PowerDNS-Adminでは、HTTP APIを利用しているため、1ゾーンに数万件のレコードがある場合、クライアントマシンの性能によっては、画面表示ができないことがあります。これは、PowerDNS-Admin特有の問題ではなく、HTTP APIを利用する場合に避けられない問題です。HTTP APIは、ゾーンのレコードを全件取得する機能しか存在しません。そのため、大量のデータがあると、クライアントのWEBブラウザに多大な負荷をかけることになります。マシンの性能にもよりますが、1万から2万件のレコードが現実的な上限と考えられます。

powerdns-webui

powerdns-webuiは、存在するPowerDNSのGUIの中で、最も手軽に利用できるPowerDNSの管理UIです。WEBサーバにHTMLファイルをひとつ配置するだけでpowerdns-webuiを動作させることができます。powerdns-webuiの特徴として、DNSSEC関連の機能が充実していることやKSKやZSKのロールオーバ機能を利用することができます。また、powerdns-webuiには、ログイン画面でTTP APIの接続先とAPIの認証情報を直接入力するため、ユーザという概念がありません。そのため、接続先を変更することで、1つの管理UIで複数のPowerDNSを管理することができます。

PowerDNSの管理UI

powerdns-webuiの主な機能

powerdns-webuiの主な機能は次の通りです。

  • ゾーン管理機能
    • ゾーンの追加・編集・削除
    • ゾーンの操作可能ユーザの設定
    • ゾーンのテンプレートの作成・テンプレートからのゾーン作成
    • ゾーンごとのDNSSEC の有効化/無効化
    • 鍵の追加・削除
  • ユーザの管理
    • ユーザの管理

powerdns-webuiの注意点

powerdns-webuiは、導入の手軽さや複数のPowerDNSを管理できる点、DNSSECの管理機能については、優秀なソフトウェアですが、以下の注意点があります。

大量のレコードが含まれるゾーン管理が難しい

powerdns-webuiもPowerDNS-Admin同様にHTTP APIでPowerDNSを管理しています。そのため、大量レコードが含まれるゾーン管理を苦手とします。また、カスタマイズが可能ですが、カスタマイズする場合には、GPLv3 のライセンスに違反しないように注意が必要です。

Poweradmin

Poweradmin

Poweradminは、機能の網羅性や扱えるレコード数の量において、バランスの取れた管理用Webインタフェースです。PowerDNS-Adminほど機能は多くなく、またpowerdns-webuiほどDNSSECの機能が充実しているわけではありませんが、次のような特徴があります。

  • ユーザ管理やDNSSEC機能など、全体的に必要な機能を網羅している
  • PowerDNSのデータベースを直接操作するため、大量のレコードを管理できる
  • 比較的綺麗な画面デザインを備えており、使いやすい

Poweradminの機能

Poweradminでは以下のような機能を利用することができます。

ゾーン管理機能

  • ゾーンの追加・編集・削除
  • ゾーンの操作可能ユーザの設定
  • ゾーンのテンプレートの作成・テンプレートからのゾーン作成
  • ゾーンごとのDNSSEC の有効化/無効化
  • 鍵の追加・削除

ゾーン一覧画面

ゾーン一覧画面

ゾーン編集画面

ゾーン編集画面

ユーザの管理

Poweradminでは、様々な権限を持ったユーザを作成することができます。

ユーザ管理画面

ユーザ管理画面

例えば、次のようなユーザを設定できます。

  • システム全体を管理できるユーザ
  • 特定のドメインのみを管理できるユーザ
  • マスタ/スレーブなどの構成を管理するユーザ
  • 参照専用のユーザ

これらのユーザは、テンプレートを作って管理することができます。

ユーザ設定テンプレート

ユーザ設定テンプレート

PowerDNSのGUI機能比較

PowerDNSのGUIについて比較しました。

  PowerDNS-Admin powerdns-webui Poweradmin
開発言語 Python HTML/Javascript PHP
PowerDNSの
データ操作方法
HTTP API HTTP API DBの操作
依存ソフトウェア WEB サーバ/MySQL WEB サーバ WEB サーバ/MySQL/PHP 8.1
ライセンス MIT License GPL v3 GPL
多言語対応 × ×
(表示の変更は可能)
ゾーンの
追加・編集・削除
ゾーンの操作可能
ユーザの設定
×
テンプレートからの
ゾーン作成
×
pdnsサーバ管理 × ×
DNSSEC 対応 ×
(v3.5.1 では注意)
KSK/ZSKのロールオーバ機能 × ×
LDAP認証 × ×
SSO認証 × ×

なお、PowerDNSの管理GUIについては、無料の調査報告書でも詳しく説明しています。

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PowerDNS検討資料

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PowerDNSの管理WEBインタフェース
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特徴・機能・性能の比較
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BIND v.s. PowerDNS
サーバの管理性
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PowerDNSを使用したDNSサーバの構成例をいくつか紹介します。
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PowerDNSの導入検討時にお客様からよくいただくご質問にお答えします。
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