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DKIM/ARC対応のメーリングリストソフトウェア〜Sympa〜

経営企画室 OSS企画チーム 森 彰吾

今回は、メーリングリスト管理のオープンソースソフトウェア、Sympaを紹介します。Sympaは、Gmailの送信者ガイドラインで対応が求められているDKIMやARCにも対応しています。

Sympaとは

Sympaは、1990年代に開発が開始された、歴史あるメーリングリストソフトのOSSです。メーリングリスト宛てのメールをリストのメンバーに配送する、という基本的な動作はもちろん、比較的綺麗なWEB UIでの操作や、日本語対応、外部DBとの連携など、非常に多岐にわたる機能を持っています。

Sympaの特徴

Sympaには、次のような特徴・機能があります。

WEB UIからの管理

Sympaでは、WEB UIからメーリングリストの設定や購読者登録などを行うことができます。また、日本語を含む多言語に対応しています。古くから存在するソフトウェアですが、デザインは新しくなっており、比較的綺麗で分かりやすいインタフェースで操作することができます。

多様な用途に対応できるポリシー

一言でメーリングリストソフトと言っても、その用途は様々です。例えば、次のようなケースがあります。

  • 特定のメンバーへのメール共有に利用する
  • 購読者へのメールマガジンやニュースレターの配信に利用する
  • 一般にメーリングリストを公開して、メンバー同士で議論する(コミュニティなど)
  • 誰でも投稿可能なメーリングリストを用意し、FAQなどの問い合わせ窓口として利用する

Sympaは、こうした様々な用途に柔軟に対応できるように、予め複数の運用ポリシーや権限が用意されています。そのため、WEB UI上でメーリングリストの設定を変更するだけで、用途に合わせて運用することができます。

送信ドメイン認証に対応

2023年末から、Gmail等のメールサービスにおいて、メールの送信ドメイン認証が必須となりました。特に、送信ドメイン認証のひとつであるDKIMという技術は、メールの改ざん防止の目的が含まれています。しかし、メーリングリストソフトでは、メールを転送したり、メール内部のヘッダ情報を書き換えたりするため、メーリングリストソフトを経由したメールはDKIMの署名検証で失敗する状態となってしまいます。

この問題に対応するための技術として、ARCという技術が存在します。ARCでは、メールを転送する際、転送経路ごとの送信ドメイン認証の結果を履歴として保持します。そして、最終的にメールを受け取った受信者が、その履歴を確認してメールの正当性を検証できる、という仕組みです。

通常、DKIMもARCも、情報をメールに付与するための専用のサーバが必要です。一方、Sympaではソフトウェアの機能としてDKIM署名やARC署名を付与することが可能です。そのため、この度のGmail等の規制強化によって、メーリングリストからのメールがGmail宛に届かなくなった、迷惑メール扱いされる、などの問題がある場合、手軽な乗り換え先としてSympaを利用することができます。

認証基盤・ユーザDBとの親和性の高さ

Sympaは、LDAP認証に対応しています。また、メーリングリストに参加するメンバーを、他のデータベースやAD/LDAPなどと連携して自動登録することもできます。単純なファイル形式のメンバーリストで登録するのはもちろん、1つのメーリングリストのメンバーを他のメーリングリストに反映する機能も持っています。企業内でメーリングリストを運用していると、メンバーの管理が段々と手間になってしまいます。Sympaの仕組みを上手く使えば、日頃のメーリングリスト運用を楽にすることができます。

他のメーリングリストとの違い

OSSのメーリングリストソフトは、複数存在します。ただ、fmlやmajordomo、Mailman2など、多くのソフトウェアは開発が停止しており、最新のOSでは利用できないものもあります。現状、実質的に利用できるのは、SympaとMailman3です。Mailman3は利用できるものの、開発が開始されてからまだ日が浅く、情報が少ないことや、日本語対応に難があることが分かっています。

一方、Sympaは安定性があり、ドキュメント類もある程度のレベルで整備されています。また、Mailman3で異常が発生する日本語文字コードでもメール送信ができることが確認できています。そのため、現状はSympaのほうが導入・利用がしやすいと考えられます。

なお、Mailman3については、デージーネットで独自の日本語対応パッチを公開し、日本語でも利用できるように整備をしています。

デージーネットでは

チャットが台頭しつつある世の中ですが、組織間を跨ぐやり取りにおいて、メーリングリストは未だ主要なコミュニケーション手段のひとつです。その一方で、メーリングリストのシステムを10年以上更改していないという話しがあるのも事実です。現在においては、古いメーリングリストソフトが新しいOSで使えなくなったり、Gmailガイドラインの件で送信ドメイン認証の対応が求められたりなど、以前のように単純にメーリングサーバを立てるというだけでは済まなくなってきています。

デージーネットでは、2014年頃からSympaの提案・構築を行っている実績があります。レガシーなメーリングリストの置き換えなどのご相談も承っておりますので、お気軽にご相談ください。

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OSS情報(Sympa)

Sympaとは、メーリングリストを管理するためのオープンソースソフトウェアです。メーリングリストを作成するための基本的な機能に加え、マルチドメイン対応や、投稿の保管庫、各種カスタマイズ機能などがあり十分な機能が揃っています。

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