オープンソースのクラウド管理基盤〜OpenNebula〜
経営企画室 OSS企画チーム 加茂 智之
今回は、オープンソースのクラウド管理基盤の「OpenNebula」をご紹介します。
OpenNebulaとは
OpenNebulaはOpenNebula Systemsが開発するクラウド管理基盤です。ハイパーバイザーとしてKVMやLXCを利用でき、GUIの管理画面、コマンドライン、XML-RPC APIを通じて仮想マシンやコンテナを管理可能です。そして、仮想ネットワークやストレージの管理機能も備えています。仮想ネットワークとしては物理ネットワークへのブリッジ、VLAN、VXLAN、Open vSwitchなどに対応しています。ストレージとしてはローカルストレージの他、NFSやCephなども利用可能です。ユーザをグループ単位で管理でき、グループごとのリソース使用制限を設定することでマルチテナント構成にも対応しています。基盤を管理するフロントエンドや仮想マシンを稼動させるノードの高可用性機能により、機器に障害が発生したときもサービスを継続して提供できます。
コミュニティー版とエンタープライズ版
OpenNebulaには、オープンソースのコミュニティー版と、有償のエンタープライズ版があります。基本的には、両者の機能に大きな差はありません。エンタープライズ版では、電話やメールによるサポート、OpenNebulaバージョンアップ時のアップグレードツール、定期的なバグ修正とマイナーな機能追加を含むメンテナンスリリースなどが提供されます。
機器構成
OpenNebulaでは、仮想マシンを稼働させる「ノード」とクラウド基盤を管理する「フロントエンド」の2種類の物理マシンが必要です。インストールは容易で、ノード1台、フロントエンド1台の2台の物理マシンで手軽に利用を開始できます。ノードは2台以上、フロントエンドは3台以上用意することで、機器障害が発生した場合でもサービスを継続できる冗長化構成とすることができます。
また、仮想マシンを作成する元となるイメージファイルや稼働中の仮想マシンのストレージなどを置くデータストアとして、OpenNebulaでは各物理マシンのローカルディスクを利用可能です。必要に応じて物理マシン間でデータが同期されます。ですが、ローカルディスクを使用した場合はノードに障害が発生した場合にデータが失われる可能性があります。冗長性を持たせるためには、NFSやCephなどの外部ストレージを利用します。
マルチテナント
OpenNebulaでは複数のユーザを作成し、グループに所属させて管理することができます。原則として所属グループ外のリソースは見られないので、異なる組織へサービスを提供するマルチテナント環境としての利用が可能です。また、いくつかのノードをまとめて VDC(Virtual Data Center)とし、VDCをグループに割り当てることも可能です。これにより提供先組織ごとに使えるリソースを制限することができます。
VMwareからの移行
OpenNebulaにはVMwareからの仮想マシンの移行を容易にするOneSwapというツールが用意されています。VMware環境でエクスポートしたOVAファイルをOneSwapでOpenNebulaにインポートが可能です。OneSwapはvCenter/ESXiに接続して半自動で仮想マシンを移行させることも可能です。
oVirtとの比較
類似したオープンソースのクラウド管理基盤としてoVirtがあります。しかし、oVirtは主要スポンサーであったRed Hat社が2022年頃から開発から撤退した影響で、2023年以降は新バージョンのリリースが停滞していました。その後コミュニティ主導で開発は継続されていますが、今後のリリース状況には不透明な部分が残ります。
OpenNebulaは2005年の1.0リリース以降現在に至るまで、継続的に新バージョンがリリースされています。開発は欧州連合の研究プログラムなどの支援を受けて継続されています。OpenNebulaはソフトウェアのアップデートを重要視しており、旧バージョンから新バージョンへの移行手順が整備されています。しかし、冗長化構成とするために必要な物理マシンの台数はoVirtより多くなってしまいます。ストレージを除くと、oVirtは物理マシン2台で構築可能ですが、OpenNebulaは物理マシンが5台必要となります。
デージーネットでは
デージーネットではoVirtやProxmox VEに加えてOpenNebulaの構築も可能です。お客様の要件に応じて適切なご提案をいたしますので、クラウド基盤の導入や移行をご検討の際はお気軽にご相談ください。
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