RHEL10がリリース! RHEL9からの変更点とは?
経営企画室 OSS企画チーム 加茂 智之
2025年5月20日、Red Hat Enterprise Linux 10(以下、RHEL10)の最初のリリースである、RHEL10.0が公開されました。今回は、RHEL9からの主な変更点についてご紹介します。なお、7月23日(水)に開催するセミナーでは、実際の画面にてRHEL10についてより詳しく解説いたします。
対応ハードウェア
RHEL9では、x86-64-v2以上のアーキテクチャのCPUが必要でしたが、RHEL10では x86-64-v3以上のCPUが必要となりました。x86-64-v2以下のCPUでは動作しませんのでご注意ください。
IntelのCPUでは、Haswell世代以降であればおおむねx86-64-v3に適合していますが、組み込み用のAtomでは一部適合していないものもあります。
仮想基盤にRHEL10をインストールする場合、仮想マシンをx86-64-v3に適合させるために仮想基盤側で設定が必要な場合があります。
なお、RHEL10と互換性を持つLinux OSであるAlmaLinux 10.0では、x86-64-v2向けのビルドも提供されています。
主なソフトウェアの変更
RHEL10.0では多くのソフトウェアのバージョンがアップデートされています。RHEL9.5と比較すると、下記のようになっています。
- Linux Kernel: 5.14.0 → 6.12.0
- Apache HTTP Server: 2.4.62 → 2.4.63
- Nginx: 1.24.0 → 1.26.3
- MySQL: 8.0.36 → 8.4.4
- PostgreSQL: 16.4 → 16.8
- Python: 3.12.5 → 3.12.9
- PHP: 8.2.13 → 8.3.15
その他、一部ソフトウェアは削除されています。
DHCPサーバ
2025年4月号のメールマガジンでも取り上げたように、ISC DHCPは削除され、代替としてKea DHCPが含まれるようになりました。どちらも同じDHCPサーバですが、設定ファイルの書式が異なるなど、互換性は無いため移行には注意が必要です。
データベース
Redisは開発元でライセンスが変更され一時オープンソースではなくなったため、代替としてValkeyが含まれるようになりました。Valkeyは、Redis 7.2.4からフォークして開発されたソフトウェアです。現時点ではValkeyはRedisと互換性を保っているため、Redisからの移行は容易と思われます。
また、Berkeley DB(libdb)は削除されました。あわせて、Berkeley DBに依存しているSpamAssasinも削除されました。また、389 Directory Serverが使用するデータベースは、Berkeley DBからLightning Memory-Mapped Database (LMDB)に変更となりました。
メールサーバ
古くから利用されてきたSendmailは削除されました。MTA(Mail Transfer Agent)はPostfixをお使いください。
バックアップツール
Baculaは削除されました。
複数バージョンのパッケージの提供形態
同一ソフトウェアの複数バージョンのパッケージが提供される場合、RHEL9まではモジュールという形式をとっていました。RHEL9でPostgreSQL 16をインストールする場合、下記のように使用するモジュールを有効化してインストールする形となっていました。
# dnf module enable postgresql:16 # dnf install postgresql-server
RHEL10では、モジュール形式が採用される予定はなく、下記のようにパッケージ名にバージョンを指定するシンプルな形でインストール可能です。
# dnf install postgresql16-server
RHEL10からの新機能
RHEL10では、cockpit-filesというパッケージが追加されています。cockpit-filesを使用すると、RHEL10マシンにWebブラウザでアクセスしてファイルの編集などが可能です。管理者権限を使用して操作することも可能で、コマンドラインの利用に不慣れな場合でも設定変更作業などをやりやすくなっています。
また、RHEL10ではRHEL Lightspeedを搭載したコマンドラインアシスタントが利用可能です。コマンドラインで質問文を入力すると、SaaSとして提供される生成AIで処理され、質問への回答が表示されます。日本語での問い合わせや、ログの一部を送信することも可能です。RHELの使用方法の検索やトラブルシュートに利用可能です。
デージーネットでは
デージーネットではすでに、Kea DHCPやValkeyなどRHEL10から採用されたソフトウェアの調査を行っており、また今回リリースされたRHEL10に関する調査報告書もホームページより公開しております。以前のOSからRHEL10系のOSへの移行作業も対応可能ですので、RHEL10系OSを使用したシステムの移行や新規構築についてご検討の際は、お気軽にご相談ください。
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