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ヘルプデスクツールのおすすめOSS〜Zammad〜

Zammadは、お客様からの問い合わせをオンラインで管理することのできるオープンソースソフトウェアのヘルプデスクシステムです。ここでは、OSSのヘルプデスクシステムZammadの特徴や機能について解説します。

ヘルプデスクツールとは

ヘルプデスクツールとは、主にお客様からくる問い合わせ対応をWeb上で行えるツールです。また、問い合わせの集計・分析ができ、レポートとして表示されることやワークフローそして顧客管理に特化したCRM機能が付いているものなどヘルプデスク業務の改善の効果がありDXの促進が可能です。

現在、お客様からの問い合わせ対応の方法として、電話やメールだけでなく、チャットボットからの質問や、TwitterやFacebook、LINEといったSNSからのアクセスなど、多様な経路からの問い合わせが増えてきています。そのため、業務のタスクが複雑化し、オペレーターによって対応の品質に違いが出る、対応にかかる時間が増加し担当者の負担がかかるなど多くの問題を生み出しています。

ビジネスの中で、問い合わせ対応は、自社の印象や評判につながる重要な業務であるため、業務が滞っている部分を分析し、安心のサポート体制を整え、迅速で適切な対応をすることが求められます。解決策として、問い合わせを一元管理し、業務の負担を減らすことができるヘルプデスクツールの設置が挙げられます。ヘルプデスクツールの導入を検討する際には、さまざまなプランがあるクラウド型、オンプレミス型などあらゆるツールがあり、費用など参考とする情報の選定が必要となります。

ヘルプデスクツール導入のメリット

ヘルプデスクツールを導入することで以下のメリットがあります。

情報の共有・管理ができる

ヘルプデスクツールは、日々、メールやコーポレートサイトを始め、あらゆるツールから送信される問い合わせを、一つのシステムで集中して一元管理することができます。また、問い合わせによって、ステータスが表示されるツールが多いため、普段、Excel等で管理しているよりも、現在の進捗状況や未着手の問い合わせがすぐに確認することができます。複数人で対応している場合もスムーズに進捗の共有をおこなうことができます。さらに、対応しているステータスの進捗が一定期間変わらない場合は、通知してくれる機能もあるため、対応漏れにも気が付くことが可能です。

品質の向上

ヘルプデスクツールは、過去の問い合わせも検索できる機能があります。今までのやり取りも一覧で表示されるので、担当者が変更されても過去の問い合わせを参考に対応することが可能です。24時間対応していて人が多く入れ替わる場合でも、一定の問い合わせ対応の品質を保つことができます。

業務の効率化ができる

最新のヘルプデスクツールには、自動で担当者に問い合わせを割り振りしてくれるツールがあります。自動で割り振りを行ってくれることで仕事の効率化を行うことができます。また、問い合わせ件数、担当者、対応時間などのデータの分析に特化したツールもあります。分析した結果から、担当者の配置やマニュアルの作成など、運営の効率を上げることが可能になります。

ヘルプデスクツール導入のデメリット

ヘルプデスクツールには、以下のデメリットもあります。

システムを活用できない

たくさんの機能が付いているヘルプデスクツールだと、使いこなすことができず、業務が効率化されない場合もあります。そのため自社のスキルにあったシステム運用ができる使いやすいツールを選択することが大切になります。

メンテナンスが必要

日々大量の情報が集まる可能性があるツールのため、メンテナンスや保守が必要になります。システムを管理する要員の確保や、より使いやすくなるための改善等も必要になります。

ヘルプデスクツール選定のポイント

ヘルプデスクツールを選ぶ際は、自社に合ったツールを選定する必要があります。ここでは、選定のポイントを紹介します。

使いたい機能が揃っているか

ヘルプデスクツールには、たくさんの機能がついているものもあります。SNSなどのツールの連携に特化したものや、メールや電話のみに対応しているものなどさまざまです。また多言語対応しているかなど、国内中心のみならず世界からも利用する場合があるのか等の概要も把握する必要があります。多くの機能があることで、逆に使いにくくなってしまう可能性もあるため、自社でなにが必要な機能なのか、事前に洗い出す必要があります。その使いたい機能が付いているのか、もしくは機能の拡張をすることができるのかツールを評価する必要があります。

使いやすさ

便利なツールを導入したからといって、ツールを使いこなせないと意味がありません。ヘルプデスクツールは、カスタマーサポートなどで利用されているため、多くの人が利用します。そのため、パソコンの苦手な人でも使いこなせるツールなのか、使いやすいのか、実際の業務の流れやフローを確認しながら利用のイメージを考える必要があります。

サービスの提供形態

ヘルプデスクツールを選ぶにあたって、そのツールがクラウドサービスとして提供されているのかオンプレミス版なのか確認することも重要です。クラウドサービスの場合、ユーザ数にあわせて利用をスタートすることができますが、自社のセキュリティポリシーによって使用できない場合もあります。そのため、自社のセキュリティポリシーにあわせてツールを選択する必要があります。

価格面

ツールを導入するにあたり、価格は一番重要なポイントです。クラウドサービスなら月額制のものやユーザ数1人当たりいくらなど価格の設定方法に違いがあります。オンプレミス版の場合、1サーバの価格になるため、長く利用していくことを考えると、オンプレミス版の方が価格が安い可能性があります。利用年数も考慮し予算にあったツールを選択する必要があります。

ヘルプデスクシステムのZammadとは

Zammadとは、ヘルプデスクツールやカスタマーサポートシステム、チケット管理アプリなどと呼ばれる、ユーザーからの問い合わせを一元管理するためのソフトウェアです。Zammadは、ZammadコミュニティによりAGPL v3.0ライセンスのもと、RubyやJavascriptを利用して開発されています。Zammadは、顧客からの問合せをWEB UI上でオンラインで管理することでき、PCへソフトのインストールも不要です。Zammadは、オープンソースソフトウェアのため、ソフトウェアの料金は無料で使用が可能です。そのため、ユーザによる月額料金が発生せず、人数の規模が大きい企業であれば、コストを抑えて自社独自のヘルプデスクシステムを導入することができます。また、オンプレミス環境に構築することができるため、企業のポリシーに従って、セキュリティ面で安全に運用が可能になります。

セットアップ

Zammadログイン画面

ヘルプデスクシステムZammadの特徴

OSSのヘルプデスクシステムZammadの特徴や導入のポイントは、以下になります。

案件の管理が便利に行える

Zammadは、問い合わせ案件をチケットという単位で登録します。顧客からのメールやWEBフォームからの投稿に応じ、チケットを自動的に発行します。チケットは、メールやWEBフォームなど以下の豊富なツールから情報を登録することが可能です。

  • メール
  • WEB フォーム
  • SMS
  • チャット
  • Google App
  • Microsfot 365 App
  • Twitter
  • Facebook
  • Telegram

Zammadは、チケットと呼ばれる案件をダッシュボードから一覧で表示することができます。担当者や案件の状況、対応している案件の件数をチームで可視化することができるので、人数が多いコールセンターでも誰がどの案件を担当し、どんな進捗状況なのか、現在対応している案件の数はいくつなのか、などを正確に把握することができます。一つの案件の中に担当者が異なる2つの内容がある場合でも、チケットの分割や統合が可能なため案件の管理が便利になります。Zammadから問い合わせに直接返信ができ、問い合わせ対応の一連のやり取りの流れを、スムーズにZammad内で完結することができます。
案件の履歴を共有することができるので、顧客情報や進捗状況の引継ぎに漏れが発生し、ミスをするケースも解消されます。スタッフ同士のコミュニケーションも円滑に行うことができ、業務の効率化につながります。実際のお客様からの問い合わせ内容は、企業のサービス向上やクレーム削減を実現する上で役立つ良いヒントとなります。問い合わせ内容などのデータを分析・活用することで、顧客満足度の改善や社内へのフィードバックに加え、公式サイトの改善やマーケティング活動などを効果的に行うことが可能となります。

チケット一覧

チケット一覧画面

簡単に検索が可能

Zammadは、Elasticsearchを利用しており全文検索に対応しているため、単語を入力するだけで簡単に検索を行うことができます。チケットの件名や内容、ユーザやナレッジベースの内容が検索対象となります。また、チケットにアップロードされたファイルの内容も検索することが可能です。また、高度な検索方法として、クエリ言語による検索も搭載されています。クエリ言語をカスタマイズして検索することで期間を限定した過去の案件の検索などができ役立ちます。また、現在から24時間以内に作成された案件など、検索条件が充実しているため、詳細な検索も柔軟に行うことが可能です。

検索

検索画面

操作を自動化できる

Zammadには、トリガーという機能により複数の作業を自動化することができます。初期設定では、チケット作成時にチケットの作成者に自動返信をする機能が用意されています。また、指定された日時にメールの返信やチケットの削除処理をおこなうことができるスケジュール機能もあります。今まで手作業で処理していたものを自動化することができるので無駄な作業の削減にもつながります。空いた時間で、生産性の高い業務を行うことができ作業の効率もあがります。

情報を共有することができる

Zammadには、ナレッジベースというWikiのようなページに文章を記録する機能があります。この機能は、担当者全体で共有するナレッジ(知識)を書くことで社員同士のノウハウやプロセスの共有ができます。もちろん、蓄積されたナレッジは全文検索することも、タグを使い検索することもできます。また、単純に情報を記載するだけではなく、チケットとデータを紐付けることも可能です。記事の分類もできるのでフォルダごとに管理することもできます。問い合わせの情報が集約されていれば、すぐに情報を確認することができ、チームや部門ごとに情報共有し、効率的に教育やインシデントなどの問題を解決することができます。従業員同士が情報共有を行うことで、問い合わせ応対の品質が向上し、体制も整う点も大きなメリットです。

ナレッジベース

ナレッジベース画面

問い合わせシステムとしても利用が可能

Zammadには、チャットチャンネルが存在します。お問い合わせフォームなどWebサイトにチャットを埋め込んで、顧客と担当者がリアルタイムに会話することができます。会話が終了した際に、チャットでのやりとりをチケット化することができます。FAQとしても利用することができます。しかし現在は、チャットの自動応答などの機能はありません。このチャット機能を利用してリアルタイムで対応できる問い合わせ管理システムとしても利用が可能です。例えば、サイトのチャット上でお客様からの質問にその場で回答できるような運用が実現できます。

チャット

チャットチャンネル画面

ユーザの権限管理ができる

Zammadには、ユーザ管理として、ユーザ、グループ、ロールという3つのカテゴリが存在します。Zammadは、グループやロールという情報を利用して案件の操作権限の管理を行うことができます。細かく操作権限を分けることによって、チケットの種別毎に担当者や担当グループを分け、各担当者に関係のあるチケットだけを操作させるような運用が可能になります。

ユーザ

ユーザとは、Zammadを利用する管理者、担当者、顧客のすべての利用者のことを指します。Zammad のユーザは、ユーザ管理画面から登録することが可能です。さまざまなチャンネルから問い合わせを行ったユーザは、自動的に顧客としてユーザ登録されます。

ユーザ

ユーザ管理画面

グループ

Zammad のグループは、ユーザとチケットを紐付けるために利用します。ユーザは複数のグループに所属することができ、チケットは1つのグループに所属することが可能です。特定のグループに所属している人だけを参照可能にするなど権限の管理を行うことができます。グループには、チケットにメールで返信する場合の、メールアカウントや、署名の情報を紐付けることも可能です。

グループ

グループ登録画面

ロール

ロールは、ユーザに割り当てる権限を指します。管理操作からチケットの操作まで、細かく権限を設定することができます。デフォルトでは、Admin(管理者)、Agent(担当者)、Customer(顧客)の3種類が用意されており、他にもロールの追加が可能です。

ロール

ロール登録画面

ヘルプデスクシステムZammadの機能

ヘルプデスクシステムZammadには以下の基本の機能が提供されています。

チケットの管理

Zammadの管理画面からチケットの詳細を確認することができます。チケットのやりとりや現在のステータスを確認・変更することが可能です。チケットへの返信もメールやWEBフォームから返信を行うことが可能です。

チャンネル機能

Zammadには、チャンネルと呼ばれる機能があります。チャンネルでは、アカウントの設定やフィルタ設定、署名設定を行うことが可能です。

チャンネル

チャンネル画面

overview機能

Zammadには、概要と呼ばれるoverview機能があります。overview機能では、チケットを分類してカテゴリーごとにメニュー化することが可能です。条件を指定して、ユーザやロールごとに利用できる概要をわけることができます。

オーバービュー

概要登録画面

トリガー機能

Zammadのトリガー機能とは、Zammad内でイベントが発生した際に、アクションを起こすことが可能です。デフォルトの設定では、チケット作成時にチケットの作成者に自動返信をするテンプレートが、用意されています。自動返信は、設定済みの条件が一致した際に自動で送付されます。実行されるアクションは、メール送信で、メールの件名や本文なども設定することができます。

トリガー

トリガー登録画面

スケジューラー機能

Zammadのスケジューラー機能は、Zammad内での処理を定期実行することができます。メール送信や、チケットの情報変更、チケットの削除処理などを指定された日時に実行することが可能です。

スケジューラ―

スケジュール登録画面

マクロ機能

マクロ機能は、チケット操作を効率化するためのショートカットです。チケットの管理画面で、マクロを使うことができるようになります。マクロ機能を利用することで、条件にあわせた自動化をすることができます。

マクロ

マクロ機能設定画面

LDAP連携

Zammadは、LDAP サーバと連携することが可能です。認証の連携だけではなく、LDAPの属性とZammad のユーザ情報を紐付けることができます。また、LDAPのグループとZammadのグループを紐付けておくことも可能です。LDAPと同期すると、自動的にZammadにユーザが作成されます。LDAPからユーザが削除された後にLDAPと同期すると、Zammadに作られたユーザは非アクティブの状態になります。

LDAP連携

LDAP連携画面

ヘルプデスクシステムZammadとの連携

Zammadを他のシステムと連携することでさらに活用の幅が広がります。

インシデント管理

ZammadとスマホやPCにプッシュ通知を送付できるntfyと連携することで、ntfyからきた通知をZammadで案件として管理することが可能です。Zabbixなどの監視システムと連携させることで、監視アラートをZammadで管理することができ、インシデント管理のツールとして活用できます。

ヘルプデスクシステムZammadの課題

Zammadは、社内外問わず利用できる問い合わせ管理システムとして便利な反面、まだ機能として利用できない部分が多数存在します。そのため、注意点が必要な項目は以下の5つになります。

  • 日本語化が完了していない
  • 直感的なUIの操作ではなく、コマンドラインでないと削除できない設定が存在する
  • ナレッジベースのテキストエディタの機能が利用しにくい
  • マニュアルがないため、案件のクエリ検索が難しい、またクエリの保存ができない
  • 画面のデザインなどの変更箇所が限定されている

デージーネットの取り組み

デージーネットでは、Zammadの日本語メールの処理について調査検証し、調査報告書で公開しました。その他インストール方法やより詳しい機能、操作マニュアル等はZammad調査報告書からダウンロードが可能です。また、OSSの問い合わせ管理システムのソリューションとして、Zammadの他にCuMASというソフトウェアの構築を行っています。CuMASは、デージーネットで開発したOSSで、比較的シンプルな作りになっており、社内への導入事例や実績もあります。中小企業の方でも導入しやすくなっており、CuMASのクラウドサービスでは、お試しのトライアル期間も利用できます。2つのソフトウェアのメリットと会社の規模やお客様のニーズに合わせてそれぞれ比較、選択し、最適な環境を提案しシステムを構築します。構築や保守の価格など詳細は、お問い合わせフォームからお問い合わせください。

ヘルプデスクシステムZammad情報の一覧

Zammad調査報告書

Zammad調査報告書

Zammadとは、ヘルプ デスク ソフトウェアやチケット管理アプリなどと呼ばれる、問い合わせを管理するためのソフトウェアです。顧客からの問合せをWEB UIで管理するために利用できます。本書は「Zammad」についてまとめた調査報告書です。

注目の問い合わせ管理システムおすすめOSS〜CuMAS〜

CuMAS

ここでは、顧客や取引先からの問い合わせメールを管理することのできるOSSの問い合わせ管理システム「CuMAS」を紹介します。コールセンターなど顧客対応が必要な部署において、問い合わせを一元管理し担当者の割り当てを自動化するなどの業務効率化が図れ、非常に便利です。社内向けの用途でも利用できます。

OSSのおすすめ問い合わせ管理システムZammadとCuMAS機能比較

ZammadとCuMAS

問い合わせ管理システムとは、顧客やユーザーからの問い合わせや依頼に対して迅速・的確に対応するために、問い合わせ内容を一元管理するツールです。この記事では、問い合わせ管理システムについて解説した後、オープンソースの問い合わせ管理システムであるZammadとCuMASを比較し、システムの適切な選び方について解説します。

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