よくある質問・用語集

  • もっと調べる
  • どうやって使う?

プッシュ通知とは

プッシュ通知とは、アプリケーションやサービスから送られる情報を、PCのデスクトップ画面やスマートフォンのロック画面/ステータスバーなどに、自動的に表示させる機能のことである。サーバ側から情報を「押し出す」(プッシュ)という意味でプッシュ型通信とも呼ばれている。ユーザの端末でプッシュ通知を許可し、設定が有効になっていれば、電話番号やメールアドレスといったユーザの個人情報などを知らなくてもメッセージを送ることが可能である。

プッシュ通知の最大の特徴は、端末でアプリを起動していなくても通知がポップアップで表示される点である。端末の電源がオフまたはスリープ状態でも、起動後に自動的に届いたプッシュ通知が表示されるようになっている。そのため、スマホのメッセージアプリで新着メッセージを受け取ったり、ニュースや天気予報の最新情報を表示するなど、ユーザの日常の様々な場面でプッシュ通知が活用されている。この記事では、アプリ開発者がプッシュ通知を導入する際の、メリット/デメリットや課題などを解説する。

モバイルプッシュ通知画面

スマートフォンのプッシュ通知イメージ

プッシュ通知の種類

プッシュ通知には、主に以下のような種類が存在する。

リモートプッシュ通知

リモートプッシュ通知とは、スマホなどの端末がインターネットに接続されている状態(オンライン)で、外部のサーバから送信されるプッシュ通知のことである。ユーザがアプリを起動していなくても、外部からのプッシュ通知リクエストをデバイス内のアプリが受信すると、ロック画面やステータスバーにメッセージやアプリのアイコンが表示される仕組みとなっている。リアルタイムな情報配信が可能なことから、リモートプッシュ通知は下記のようなアプリの通知として使用されている。

  • チャット/メッセンジャー系アプリの、新着メッセージ受信通知
  • LINE/Twitter/Instagram等SNSの、新着メッセージや「いいね」等の通知
  • 各種ショッピングアプリ/ゲームアプリのお知らせ通知

ローカルプッシュ通知

ローカルプッシュ通知とは、ユーザが使用している端末の中だけで処理が行われるプッシュ通知のことである。ユーザ自身の設定や操作が起点となってアプリから通知が発信されるため、上で解説したリモートプッシュ通知とは異なり、インターネットに接続していない状態(オフライン)でも通知を表示することが可能である。一般的には指定日時に通知が届くリマインダー機能として利用されることが多い。ローカルプッシュ通知が使用されるアプリの代表的な例として、アラームアプリ、タスクやスケジュール管理アプリなどがある。

また、プッシュ通知の表示方法については、用途に合わせ主に下記に分かれる。

  • バナー

    画面上に表示される通知。スマホの設定により、表示位置(上部・中部・下部)や表示時間を変更することができる。ロック画面にも表示される。

  • バッジ

    アプリアイコンの隅に表示される、小さな色付きの丸。通知件数の数字が入る。

いずれも、ユーザの操作により、表示/非表示や、通知音を鳴らす/サイレント等の設定が可能である。

プッシュ通知のメリット

プッシュ通知を利用することで、以下のようなメリットがある。

リアルタイムな情報配信が可能

メールを利用した通知では、メールアプリを開いた際にまとめて確認されることが多いことから、他のメールに紛れてしまいユーザが見落としやすく、情報の鮮度が落ちた状態で読まれるといった可能性がある。一方、プッシュ通知は、逐一アプリやシステムを起動させなくても、最新の情報や連絡事項などを常時すぐに取得することができる。そのため、メールを利用した通知に比べて、重要な情報や緊急度の高い情報にも気付きやすいといった特徴がある。また、自社のキャンペーンやイベント告知など、新しい情報をリアルタイムに配信することができるため、即効性の高い集客や販促にもつながりやすい。

開封率が高い

プッシュ通知は、通知をタップするだけの簡単な操作性から、メールマガジンなどの他の配信手段に比べて、メッセージの開封率が高いという特徴がある。メルマガの一般的な開封率が約10~20%であるのに対し、アプリのプッシュ通知の開封率は約25%以上、高い時は80%以上にのぼるというデータもある。ユーザとの高い接触頻度を見込めるため、情報発信の効果が期待できる。

サービスの利用率・継続率が向上する

プッシュ通知はアプリを起動していない状況でも通知を届けることが可能なため、長らくアプリを使っていないユーザや、本来アプリを開く予定がなかったユーザに対してもコミュニケーションを図ることができる。また、定期的に通知を送ることでユーザとの接触機会が増え、サービスに対する認知度や信頼性を高めることができ、売上やコンバージョンの増加にもつながりやすい。

プッシュ通知のデメリット

メリットが多く、ユーザにとっても便利なプッシュ通知だが、反対に以下のようなデメリットにも注意しなければならない。

通知の頻度が高いと効果が薄れる

プッシュ通知はアプリの起動なしで通知が表示されるため、配信頻度が高すぎると通知が溜まってしまい、かえってユーザに気付かれにくくなることがある。溜まった通知は確認・整理するのにも手間がかかることから、負担と感じるユーザも多い。何度も通知を受け取ることで、スマホの充電の減りが早くなるというデメリットもある。プッシュ通知を配信する側は、同一の内容や重要度の低い通知はなるべく控え、ユーザにとって有益な情報を数を絞って配信するといった対策が必要である。

時間帯や内容によっては不快感を与える

プッシュ通知は、ユーザの意図しないタイミングで通知が表示されたり、通知音が鳴ったりするため、通知を送る時間帯や内容によってはユーザが不快に感じ、通知の受け取りを無効に変更してしまうことがある。場合によっては、アプリの削除やサービスの利用停止の原因となるリスクもある。そのため、ユーザにとって価値のある内容を適切な時間帯に送るなど、通知を受け取る人の立場に立った運用が大切である。

プッシュ通知を導入する際の課題

PCのブラウザで利用するプッシュ通知(いわゆる「デスクトップ通知」)は、サーバとクライアントプログラムの2者での実装が可能である。これに対し、スマートフォンにプッシュ通知を導入する場合は、以下のような課題がある。

OSによって制約が異なるため手間がかかる

スマートフォンでプッシュ通知を利用する場合、AndroidとiOS(iPhone/iPad)では実装方法が違い、GoogleやAppleが管理する次のシステムを経由して通知を送る必要がある。

  • Android: FCM(Firebase Cloud Messaging)

    FCMは、Googleが開発しているAndroidアプリ用のプラットフォームである。アプリケーションサーバからのプッシュ通知のリクエストは、FCMを経由することで各モバイル端末へ届けられる。なお、Android端末は、アプリをダウンロードするとデフォルトでプッシュ通知を受け取る設定となっている。

  • iOS: APNs(Apple Push Notification Service)

    APNsは、Appleが開発したiOSアプリ用のプッシュ通知サービスである。FCMなど外部サーバからAPNsを使って通知を送るためには、アプリに紐づけられたAPNs証明書、又はAPNsキーが必要になる。なお、iOSのプッシュ通知は、各アプリごとにユーザーが通知のオン/オフを自分で選択することができる。

これらのシステムを経由するためには、プッシュ通知を送信するサーバ側と、クライアントになるアプリ側の双方に、上記システムを利用するための情報を埋め込む必要がある。また、別で発生する開発者登録や費用の支払い(特にiOSアプリの場合)といった事務処理に対応しなければならないほか、アプリ開発の知識も必要となる。そのため、PCに比べてモバイルのプッシュ通知は実装に手間がかかり、導入の際の障壁となっている。

閉域環境での利用が難しい

プッシュ通知は、上記の通り基本的にFCMやAPNSを経由する必要がある。そのため、利用するサービスとスマートフォン等のデバイスがインターネットに接続できる環境が必要で、閉域環境での利用が難しいという課題がある。

なお、Android OSであれば、閉域環境であってもアプリをバックグラウンドで起動し続けることで、FCMからの情報が無くともプッシュ通知を表示することが可能である。その理由は、Android OSはバックグラウンドの処理の制限が比較的ゆるいため、アプリとサーバが直接通信をし、通知を出すことができるためである。これに対し、iOSはバックグラウンドで処理できる範囲を厳しく制限しており、APNsを経由しないリアルタイムのプッシュ通知の実装は実質不可能となっている。

デージーネットの取り組み

デージーネットでは、上記の課題の対処法のひとつとなる、プッシュ通知に特化したOSSのntfyについて調査・検証を行った。ntfyを使うことで、サービスごとにそれぞれ個別の開発をしなくても、ntfyのアプリを介してWebから通知の設定をし、簡単にプッシュ通知を開始することが可能である。つまり、導入の際の障壁となるアプリ開発の手間無しに、プッシュ通知の恩恵のみを受けることができる。さらに、ntfyのおすすめの使い方として、監視システムのZabbixや問い合わせ管理システムのZammad/CuMAS等、他のソフトウェアと連携させることもできる。これらのソフトウェアと連携させることで、各システムのアラート通知をプッシュ通知として送付することもできるようになり、より用途が広がる。ntfyのインストール方法や基本の使い方などの詳細は、ntfy調査報告書に掲載している。

【カテゴリ】:情報共有  システム開発  

  • もっと調べる
  • どうやって使う?

【共催セミナー】研修管理・運用の負担を軽減 学習管理システム(LMS)紹介セミナー

日程: 5月23日(木)Webセミナー「BigBlueButton」を使用します。
内容: 社内研修の課題を解決できる学習管理システム(LMS)について紹介します。
ご興味のあるかたはぜひご参加ください。

セミナー申込

関連用語

プッシュ通知に関連するページ(事例など)

プッシュ通知とは先頭へ