ZoneMinderとは
ZoneMinderとは、監視用カメラと連携して動作する高機能な監視カメラシステムである。ZoneMinderプロジェクトにて開発され、GPLライセンスでオープンソースソフトウェアとして公開されている。ZoneMinderは、複数の監視カメラを登録することができ、リアルタイムの映像を閲覧・録画することができる。一般的な監視カメラと同様にモニタリングのために使えるほか、ZoneMinderは、何か動きがあった場合のみ画像を残す機能も備える。さらにZoneMinderでは、映像に動きがあった場合に自動でアラートメールを送信することもできる。今回の記事では、ZoneMinderの特徴や、監視用カメラとZoneMinderを連携させた場合のメリットや注意点、課題について紹介する。
ZoneMinderの機能
ZoneMinderは多機能な監視カメラシステムである。以下では、ZoneMinderの機能のうち、特徴的なものを紹介する。
映像に動きがあった場合のみ画像として記録する設定が可能
ZoneMinderでは、連携した監視用カメラの映像を常時録画をするだけでなく、映像に動きがあった場合のみ画像として記録する設定が可能である。例えば、工場の生産ラインや道路状況など、急な異変が想定される箇所にカメラを設置した場合、異変があった瞬間を画像として記録することができる。
映像に動きがあった場合に、アラートメールを通知することができる

監視用カメラの映像に動きがあった場合に、アラートメールを送信する設定ができる。
ただし注意点として、カメラや監視する風景・明暗・解像度など様々な要因によって、アラームの発生件数は上下することがある。
古い動画・画像を自動で削除してくれる
デフォルトで、ディスクの使用率が95%を超えると、古い動画・画像を自動削除する機能が設定されている。さらに、フィルタ機能を利用することで、検索条件に合致した映像の一覧を取得・閲覧でき、選択した映像の削除・コピー・アーカイブ等の操作をすることもできる。そのため、メモリの使用量を気にすることなく利用することが可能である。
検知した監視データを保存することができる
ZoneMinderは、カメラの映像を定期的に録画し画像として保存しており、その画像から動きの検知を行っている。また、保存先のストレージを選択することができる。
モーション検知率を柔軟に調整することができる
監視している映像に動きがあった時、モーションとして映像(イベント)を検出することができる。この際、カメラの映像全体を検出対象とすると誤検出や検出されないおそれもあるため、映像をゾーンという単位で区切り、ゾーンごとに検出感度を変更することができる。ゾーンは細かく設定を行うことができ、映像の一部のみや光の変化には対応しないよう検知させるなど、様々な映像パターンでの対応が可能である。また、カメラごとに動作モードを設定することができ、リアルタイムで映像を閲覧・録画するなどの詳細の設定も、使い方に合わせ変更できる。
複数のカメラに対応することができる
連携するカメラについては、RTSPに対応した一般のものであれば、どのメーカーの製品であっても利用することができる。他社メーカーの複数のカメラを同時に画面上に表示させることも可能である。そのため、RTSPに対応したカメラが予めあれば、メーカー専用のシステムやカメラを追加で導入・購入する手間がかからない。
スマートフォン・タブレットなどのモバイルからでも利用ができる
ZoneMinderは、WEBブラウザのネットーワーク環境が整っていれば、外部からでも利用が可能である。また、AndroidやiOSアプリが存在するため、スマートフォンやタブレットからも利用することができる。そのため、外出先や離れたところにいても映像を簡単に確認することができる。
監視用カメラとの連携
以下では、監視用カメラと連携した際のメリットと注意点を説明する。
監視用カメラと連携した場合のメリット
- 遠隔から現場の様子を確認でき、指示を出すことができる
現場にいられないときでも遠隔地から、常時状況を確認することができる。異常があった場合はアラート通知を受け取れるため、その場から指示を出したり、現場に向かい対応することができる。
- 映像を保存できるため証拠として残せる
映像を保存しておくことができるため、何か現場に異変や事件があった場合、その時の映像を証拠として活用することができる。
- 犯罪や不正行為などの監視をすることができる
オフィス内や会社の駐車場、エントランスなどに監視用カメラを設置することで、オフィスのセキュリティの強化や、業務上の不正行為の監視などができる。また、監視記録を残せることから、犯罪や不正行為があった場合に証拠となるデータを保管しておくことが可能である。
監視用カメラと連携した場合の注意点
- 監視記録は適切に管理する
保存された監視記録は、個人情報・プライバシーの観点から適切に管理をしていないと、何らかの原因により記録映像が流出してしまった場合に、個人情報の漏洩に発展する危険性がある。保存先にアクセスできるユーザの制限をかけるなどの設定をし、情報の持ち出しができないよう管理する必要がある。
- 事前に周知をする
監視用カメラを設置する場合は、プライバシーの観点に基づき、撮影する場所や範囲を事前周知する必要がある。さらに、映像が記録として残る旨の周知も必要である。特にオフィス内を監視用カメラで撮影する場合、撮影自体は法律で禁止されていないが、従業員のプライバシーへの配慮が求められる。
- 設置するカメラの位置・範囲に注意する
カメラの設置場所によっては、特定の個人や建物などが映りこんでしまい、プライバシーの侵害となる可能性も考えられる。撮影範囲にはパーソナルスペースや関係のない箇所が入らないよう配慮し、カメラの台数や方向に注意しなけらばならない。特に、トイレや更衣室などの出入口付近にカメラを設置する場合は、室内が映り込むことがないよう、撮影範囲により一層注意が必要である。
ZoneMinderの課題
日本語が正しく表示されない
もともと多言語に対応しているソフトウェアだが、日本語の設定にすると適切に表示されないため、利用する際は別途カスタマイズする必要がある。しかしデージーネットでは、独自に日本語化を行い、日本のユーザにもよりわかりやすく便利になるよう改良を行った。日本語版は以下のリンクより無料でダウンロードすることができる。
「日本語版 ZoneMinderのアプリケーション」を無料でダウンロードする![]()
検知感度の調整が難しい
検知感度は詳細に至るまで細かく設定することができるが、監視している風景・明暗の度合い、映像の解像度など、様々な要因によってアラームが発生する件数に変動がある。これについは調査方法にセオリーがないため、個々のカメラに対してトライアンドエラーの調整が必要となる。
デージーネットの取り組み
デージーネットでは、ZoneMinderを使った監視カメラシステムの構築・保守サポートを提供している。連携させるカメラに応じて個別に設定が必要なソフトウェアだが、お客様のご要望に寄り添い利用しやすい方法を検討し提案している。またデージーネットでは、独自で日本語化
を実行し、日本のユーザにもより便利で使いやすい環境を実現した。その他、インストールの手順や設定方法、各種機能の使い方などの詳細については調査報告書を無料で公開している。
【カテゴリ】:セキュリティ  オープンソースソフトウェア  
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