OSSのおすすめメーリングリストとは?比較9選(2024年版)
メーリングリストは、登録されたメールアドレスにメールを一斉配布するための仕組みです。メールマガジンの配信やヘルプデスクなどの問い合わせ窓口、社内の部署やプロジェクトチームのメンバー間で情報交換をする際など、様々な用途で活用することができます。ここでは、ライセンス無料で利用できる、オープンソースのメーリングリストソフトウェアについて紹介します。また、メーリングリストサーバを選定する際のポイントについても解説します。
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目次
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メーリングリストとは
メーリングリストとは、1つの宛先にきたメールを、あらかじめ設定した複数のユーザーに配信する仕組みのことをいいます。頭文字を略して「ML」と呼ばれることもあります。メーリングリストを作成することで、1つのメールアドレスにメールを送るだけで、メーリングリストに登録されている複数のアカウントに同じメールを送ることができます。
メーリングリストとグループメール、メルマガの違い
メーリングリストと似た機能に、グループメールとメールマガジンがあります。グループメールもメーリングリストと同様に、複数のメンバーにメールを送ることができます。ただし、リストの登録者しかメールを投稿できないメーリングリストに対し、グループメールはメンバー以外の誰でもメールを投稿できるという違いがあります。また、グループメールではメールに返信した場合、返信メールの送信元がグループメールアドレスとなります。メルマガの場合は、受信側からの返信はできず、発行者と読者という一方向のコミュニケーションとなる点が大きな違いです。
メール投稿 | メール返信 | |
---|---|---|
メーリングリスト | 管理者、リスト登録者が可能 | 返信メールの送信元が 個人のアドレスとなる |
グループメール | 誰でも可能 | 返信メールの送信元が グループメールアドレスとなる |
メールマガジン | 管理者のみ可能 | 受信者からの返信は不可 |
上記の違いを踏まえ、用途に合わせツールを使い分ける必要があります。
メーリングリストのメリット
ビジネスにおいては、チーム単位での連絡や、複数の部署間での連絡事項の共有によく使われています。通常のメールでも、To・Cc・Bccを用いて複数人に同じメールを送ることは可能ですが、メーリングリストでは一度の設定で配信リストを作成でき、個別の設定が不要です。そのため、送信先アドレスの入れ忘れや、誤送信による情報漏えい、BccとCcの設定間違い等による個人情報の流出といったリスクを避けることができます。また、毎回宛先を入力する手間が無くなり、業務効率の向上が見込まれます。
メーリングリストの機能
高機能なメーリングリストのシステムでは、メールに通番を付けて配信したり、メーリングリストの名前を件名に記載して配信する機能を持ったものもあります。また、メーリングリストのメールを保管し、閲覧、検索などができるようにしたものもあります。なお、メーリングリストではメンバーごとの権限の設定により、管理者だけでなくリスト登録メンバー側からもメールの投稿が可能となります。また、受信者が返信する際は、リスト全体ではなく発信した相手に対して個別に返信することができます。
日本国内では昔からメーリングリストが使われており、GmailやOutlookなどでもメーリングリスト作成の機能を提供しています。しかし、最近のメールソフトではメーリングリストの仕組みを持っていないものも多くなっているため、そのような場合には、メーリングリスト用のサーバを別に用意する必要があります。
メーリングリストサーバをOSSで導入するメリット
メーリングリスト機能を持ったメールサーバを導入する場合、クラウドサービスとして提供されているレンタルサーバなどを利用する方法と、自社内でサーバやデータベースなどを構築し、独自のシステムを運用する方法の2つから選ぶことができます。それぞれにメリット・デメリットがある中で、オープンソースソフトウェア(OSS)を使って自社専用のメールサーバを構築する場合、次のような点でメリットがあります。
セキュリティの強化
クラウドサービスでメーリングリストサーバを運用する場合、セキュリティレベルは運営元のベンダー企業に依存することになります。既存のGmailやOutlookでメーリングリストを作成する場合も、同様のことが言えます。メーリングリストを使った社内の情報共有では、社外秘の機密情報や重要情報を扱うことも多く、万が一情報漏洩が発生すると、甚大な被害をもたらす事故に発展するリスクが想定されます。
一方、OSSを使えばオンプレミス環境に専用サーバを構築することができるため、自社独自のセキュリティポリシーに沿ってメールシステムを運用することができます。メールの情報も社内のサーバ上に保存されるため、社外への流出を防止し、安全にメールをやり取りすることができます。
アカウント数やコストを気にせず利用できる
一般的なクラウドサービスでは、アカウント数やメールの通数によって料金が変わる従量課金制をとっているものが多いです。社内の部署やグループ、プロジェクトごとのメーリングリストにこうした有料サービスを利用する場合、アカウント数やメール送受信の数が増えると多大なコストがかかってしまうため、気軽に使いにくく、円滑なコミュニケーションの妨げになってしまいます。
OSSはクラウドサービスと違いライセンスフリーで利用可能なため、アカウント数やメッセージの容量を気にすることなくメーリングリストを利用することができます。ライセンスコストが無料となる分、構築、設計、保守、メンテナンスなど必要な箇所に費用を回すことができます。また、ライセンス管理業務の削減にも繋がります。
なお、用途や利用環境によってはクラウドサービスの方が適している場合もあります。例えば、メーリングリスト以外にチャット・ビデオ会議・ファイル共有など他の機能も同時に利用したい場合は、Google WorkspaceやMicrosoft365のような多機能プラットフォームを導入するという選択もあります。そのため、自社に合った最適なメーリングリストサーバを事前によく検討することが大切です。
メーリングリストソフトウェア
以下では、無料で利用できるOSSのメーリングリストソフトウェアを紹介します。
Sympa
Sympaは、非常に高機能なメーリングリストサーバのソフトウェアです。GPLv2で公開されています。1995年から続いているソフトウェアですが、現在も活発にバージョンアップが行われており、品質も安定しています。
特徴
- 見やすいWebインタフェース
コマンドラインではなく、比較的新しいデザインのWebUIから、様々な管理やアーカイブの参照などを行うことができ、扱いやすくなっています。
- 使い方に合わせた柔軟な設定項目
メールの投稿ポリシーや返信先のアドレス変更など、細かい設定項目が豊富にあるため、運用方法に合ったメーリングリストを作成することができます。
- DKIM署名/ARC署名の付与が可能
送信ドメイン認証の一つである、DKIM署名を付与することができます。これにより、送信元の情報が正しいか、メールの内容が改ざんされていないかを受信先で判断することができます。また、メール経路上の過去のDKIM検査結果を履歴として保持する、ARC署名も付与することができます。メーリングリストの場合、送信元の情報を書き換えて転送する仕組みとなっているため、このARC署名を確認することで、正しい検証結果を知ることができます。
- 日本語文字コードに対応
Mailman 3だと異常が発生する日本語文字コードでも、問題なくメール送信ができます。
- 高い拡張性
拡張性が高く、ユーザ数の多い環境やメール数の多い環境で利用できます。
- LDAP/ActiveDirectoryと連携可能
ユーザ情報を管理しているLDAPやActiveDirectoryと連携することで、ユーザ認証を統合したり、メーリングリストの購読者の登録として利用することができます。
- マルチドメインに対応
複数のドメインがある場合でも、ドメインごとに管理者を分けて管理することができます。
注意点
- Mailmanからメーリングリストやメンバーを移行する機能はありません。
- ディスク性能によりますが、メールの保管庫に大量にメールが貯まると、検索機能が遅くなったり、動かなくなったりする可能性があります。
Mailman 2
Mailman 2は、GNUプロジェクトが開発しているメーリングリストサーバのソフトウェアです。UbuntuやdebianなどのLinuxディストリビューションでは標準でパッケージ提供されていて、よく使われているメーリングリストサーバです。現在は、Mailman 2にかわり、後述するMailman 3がリリースされています。ただし、RedHat Enterprise Linux 8以降では、現在Mailmanのサポートを終了しています。
特徴
- メーリングリストごとの画面から設定が可能
メーリングリストの購読者は、Webブラウザ上の画面からメーリングリストの登録や脱退をしたり、アーカイブを閲覧することができます。また管理者もWeb画面から設定・管理を行うことができます。
- メーリングリストの基本機能を搭載
ヘッダの書き換え、迷惑メール対策、添付ファイルのフィルターなど、メーリングリストで必要になる、ほとんどすべての機能を利用することができます。
注意点
- Mailman 3のリリース後、Mailman 2の開発は終了しています。また、RedHat Enterprise Linux 8ではMailman 2に対するサポートを2024年6月に終了しています。
- LDAPやActiveDirectoryとの連携はできません。
- メールアドレスの重複チェック、マルチドメインに対応していません。
- 機能が豊富なため、管理者はどの機能を利用するのかを適切に判断する必要があります。
- Webインタフェースは日本語対応していますが、日本語の品質は低いです。専門用語も多く使われているため、管理の難易度が高いという問題があります。
なお、企業が利用する場合、どのメーリングリストでも設定はほとんど同じです。そのため、弊社でオリジナルの登録・管理画面を作成した導入事例もあります。
Mailman 3
Mailman 3は、Mailmanの新バージョンとしてリリースされた、メーリングリストサーバのソフトウェアです。Mailman suiteとも呼ばれており、Mailmancore、HyperKitty、Postorius(ウェブUI)等の複数のコンポーネントで構成されています。
特徴
- Mailman 2には無い機能を実装
Mailman2では実装されていなかったマルチドメイン対応、REST APIの使用が可能です。
- ARCに対応
ARCの技術に対応しているため、メーリングリストの仕組み上DKIM検査が失敗してしまう問題にも対応することができます。
注意点
- コマンドラインによる設定が多いです。
- メールアドレスの重複チェックには対応していません。
- 日本語での利用については、文字コードによってメールの内容が文字化けしたり、受信できずエラーメールが返信されたりと、完全ではありません。場合によっては、メールの送受信やアーカイブが行われず、エラーメールの返信もされないという状態になります。
弊社では、Mailman 3を日本語対応可能にするための修正プログラムを開発し、無料で公開しています。これにより日本語環境でも利用できるようになっています。
fml
fmlは、日本で作られたメーリングリスト管理のソフトウェアです。1990年代から使われている非常に古いソフトウェアですが、現在もメンテナンスが行われています。当初にリリースされたfml4が、非常に人気があり、現在でも利用されています。
特徴
- 日本語で利用可能
国産のソフトウェアということもあり、日本語メールへの対応がしっかり行われています。日本語の技術情報も非常に多いです。
- PGPを利用可能
PGP(Pretty Good Privacy)を使用したメールの暗号化および認証機能をサポートしています。
- メンバーの管理がしやすい
メールの配信メンバーとメールの投稿メンバーを別々に管理できます。
- メールによる管理も可能
コマンドやWebインタフェースだけでなく、管理者から送られるメールでメンバーの管理を行うことができます。
注意点
- 2001年にリリースされたfml8は、いまだにβ版であると書かれています。
上記の課題から、近年は徐々に人気を落とし、他のメーリングリストサーバへ移行されていることが多いようです。
ezmlm
ezmlmは、qmailの作者として有名なダニエル・J・バーンスタイン氏が開発したメーリングリストのソフトウェアです。極めて高速に動作し、セキュリティも高いと言われています。
特徴
- 一般ユーザーによる管理が可能
一般ユーザーがメーリングリストを作成・管理できます。
- アーカイブ機能を搭載
機能的には非常にシンプルですが、メッセージのアーカイブをサポートしています。
- モデレータの設置
必要に応じて、モデレータ(投稿を管理する人)を設置することもできます。モデレータが承認したメールだけがメーリングリストに流れるようにすることもできます。
注意点
- qmailとの連携を前提として作成されているため、他のMTAでは動作しません。
- 管理用GUIなどは用意されていないため、管理・編集の際はサーバにログインし、専用コマンドを入力する必要があります。
majordomo
majordomoは、1992年から利用されているメーリングリストのソフトウェアです。
特徴
- メールによる操作
Webサーバが一般化する前に作られたこともあり、メーリングリストへの加入、脱退などの操作を、メールで行います。一般的には以前の形式のまま利用されることが多いようです。例えば、メーリングリストを新設する時は、MTAのエイリアスファイルに設定を行い、メンバーの登録はメールで操作します。なお、Webインタフェースから管理するフロントエンド(MajorCool)も公開されています。
LISTSERV
1986年に発表されており、最も古いメーリングリストサーバのソフトウェアだと言われています。現在でも、インターネット上の大規模なメーリングリストで利用されている例が多数あります。当初は、いわゆるフリーソフトウェアでしたが、現在はL-Soft社の製品として販売されています。
特徴
- コマンドによる管理
majordomoなどと同様に、メールでコマンドを送って管理を行うことができます。
- Windowsに対応
LinuxやUnixだけでなく、Windowsにも対応しています。
注意点
- ホビーユースを対象とした非商用利用のための無料のライセンスが用意されていますが、通常の利用では有償版を購入する必要があります。
- 日本語化は行われていません。
簡易メーリングリスト/メール業務管理ソフトウェア
以下では、メーリングリストがメインの機能ではないですが、簡易的にメーリングリストを使いたい場合や、メールを使って複数のユーザーと業務のやり取りを行いたい場合に便利なおすすめソフトウェアを紹介します。
postLDAPadmin
postLDAPadminは、デージーネットが開発・管理し、オープンソースとして無料で公開しているメール管理ソフトウェアです。メールサーバーでLDAPのユーザ情報を利用する場合の、ユーザ管理用GUIとして開発されました。ユーザ情報の登録・削除など、メールユーザ管理を行うためのWeb画面という基本機能に加え、メーリングリストを作成することもできます。多機能のソフトウェアに比べ、メールのアーカイブやヘッダの修正などのメニューは無く、機能は非常に簡便です。しかし、メンバー全員にメールを配布したいという場合に手軽に使える上、LDAPに対応して動作するため拡張性が高いのが特徴です。
CuMAS
CuMASは、デージーネットが開発・管理し、オープンソースとして無料で公開しているメール業務管理ソフトウェアです。外部からの問合せや社内の作業依頼など、指定されたメールアドレス宛に送られたメールをデータベースに蓄積し、新規なのか、既存の案件への返信なのかの振り分けを自動で行うことができます。また、Web画面から、最初のメールを受信した日付と時間、対応開始日時、完了日、担当者名などを確認でき、進捗ステータスの管理も行うことができます。
さらに、未完了の進捗状況のまま更新されずに一定期間が過ぎた問い合わせに対して、担当者に自動的に通知メールを送信する機能が用意されています。遅延通知期間も管理者が設定することができ、見落としや対応漏れといったミスを防ぐことができます。特定の担当者が決まっていない案件については、CuMASに登録されているアクティブなユーザ全員に一斉通知メールが送信されます。
メーリングリストソフトウェアの比較表
以上で紹介したライセンス無料のメーリングリストソフトウェアのうち、特に人気のある3つについて、特徴的な機能を表にまとめました。
Sympa | Mailman 2 | Mailman 3 | |
---|---|---|---|
言語 | perl5 | python2 | python3 |
対応MTA | postfix、exim、qmail、sendmail | postfix、exim、sendmail | postfix、exim、sendmail |
承認機能 | ○ | ○ | ○ |
件名の文字列追加 | ○ | ○ | ○ |
件名の通し番号 | ○ | ○ | ○ |
返信先の変更 | ○ | ○ | ○ |
メッセージサイズの制限 | ○ | ○ | ○ |
メンバー毎の配送停止 | ○ | ○ | ○ |
メーリングリスト作成 | ○ | ○ | ○ |
メンバーの一括登録 | ○ | ○ | ○ |
メンバーの管理 | ○ | ○ | ○ |
ML一覧表示、メンバー検索 | ○ | × | ○ |
アーカイブ | ○ | △ | ○ |
アーカイブ内の検索 | ◎ (細かい検索) |
× | ○ |
テンプレート | ○ | × | ○ |
配送状況(ログ確認) | ○ | × | × |
外部ツール連携 | ◎ (API、LDAP) |
× | ○ (API) |
マルチドメイン対応 | ○ | × | ○ |
ARC対応 | ○ | × | ○ |
フィルタリング | × | △ | ○ |
日本語対応 | ○ | ○ | △ (一部文字化け) |
統計表示(送信数、登録数) | ○ | × | × |
パッケージ提供 (RHEL9系) |
△ (EPEL) |
× (未提供) |
△ (EPEL) |
選定ポイント
以下では、メーリングリストサーバのソフトウェアを選ぶ際のポイントを説明します。
メーリングリストの機能
メーリングリストサーバのソフトウェアの多くが、単純にメールを配布するだけでなく様々な付加機能を持っています。ここでは代表的なものを紹介します。
- +メールアーカイブ
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メーリングリストで交換されたメールを、保管しておいて後から閲覧できるようにする機能です。メーリングリストに後から参加した人でも以前の議論が分かったり、受信データを後から検索するなどの目的で使われます。
- +ヘッダの書き換え
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サブジェクトに、メーリングリスト特有の文字列を付けたり、メールの通番を付けたりする機能が一般的です。また、メーリングリストの種類や脱退方法をヘッダとして追加する機能を持ったものもあります。
- +Welcomeメール
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メーリングリストに参加したときに、参加者にWelcomeメールを送る機能です。メーリングリストでのルールなどを配布する際などに役立ちます。
- +セキュリティ対策機能
- ★
大量のメール送信や問題キーワードを自動的に検出して、メールを保留する機能などがあります。また、送信者を偽装した「なりすまし」等の迷惑メール対策として、送信ドメイン認証に対応しているかどうかも重要なポイントです。 実際にGmailやYahoo!メールではガイドラインの方針を変更しており、この送信ドメイン認証に対応していない場合、受信が拒否されてしまったり迷惑メールとして扱われてしまったりする可能性があることを示しています。
こうした機能は多ければ多いほど良いというわけではありません。余分な機能があると、設定項目が多くなり管理が難しくなってしまうからです。単にメールを配布するだけであれば、シンプルなソフトウェアを選ぶ方がずっと管理はしやすくなります。そのため、本当に必要な機能は何かをよく考えて、それに適したソフトウェアを選択することをおすすめします。
メーリングリスト管理とユーザ管理
メーリングリストの新設、参加するユーザの管理などを、どのように行うかということは非常に重要です。次のような管理方法がある中で、適したものを選ぶ必要があります。
- +メールでの管理
- ★
メーリングリストサーバに、指示メールを送ることで管理する方法です。以前はよく使われていましたが、最近はあまり利用されなくなっています。
- +コマンドでの管理
- ★
メーリングリストサーバで、コマンドラインで管理する方法です。この方法しかサポートしていないソフトウェアも少なくありません。
- +GUIからの管理
- ★
Web上の画面などからリストの設定・管理できるソフトウェアが増えてきています。一見便利で使いやすい印象を受けますが、この場合、操作は必ずしも簡単とは言いきれません。画面が日本語化されていなかったり、メーリングリストの専門用語が大量に使われていたりする場合もあります。特に、すべての設定値が表示されると、どうしてよいか分からない場合があります。GUIから管理する場合には、高機能なソフトウェアよりも、シンプルなソフトウェアがおすすめです。
- +ユーザ管理サーバとの連携
- ★
組織内で利用する場合に非常に便利なのが、ユーザ管理サーバとの連携機能です。管理GUIへのログインやアーカイブの閲覧などで、既存のActiveDirectoryアカウントと連携できると、パスワード管理などが不要になり、ユーザ管理の手間を省くことができます。また、組織内の連絡でメーリングリストを使う場合には、LDAPデータベースからユーザ情報や連絡先を選択することができると、設定にかかる手間が減り、管理者も効率よく作業を行うことができます。
- +メールアドレスとの重複チェック
- ★
ユーザのメールアドレスとメーリングリストアドレスが重複すると、これまで届いていたメールが届かなくなるなどの問題が発生することがあります。メールアドレスとの重複をチェックする機能が付いていると、このようなトラブルがなく、安心してメーリングリストを管理することができます。
- +マルチドメイン対応
- ★
メーリングリストの送信先に複数のドメインが存在する場合、マルチドメインの機能がないソフトウェアでは、ドメイン毎にメーリングリストサーバを作る必要があります。これにより、システム構成が複雑になってしまいます。マルチドメインに対応したメーリングリストソフトウェアを利用すれば、シンプルにシステムを構成することができます。
サポート
特に機能の多いメーリングリストの場合には、サポートも非常に重要です。最近は、迷惑メール対策機能などが原因でメールが受信側に拒否されるといったトラブルもよくあります。製品のソフトウェアと異なり、OSSは開発元のサポートを受けられないことが多いです。そのため、ベンダーに構築を依頼する場合には、トラブルが起きた際にサポートが受けられるかどうかを確認しておくと良いでしょう。なお、弊社が提供するサポートでは、パッケージの提供、Q&A、動作上のバグが認められた場合の対応などを行っています。
性能と拡張性
メーリングリストサーバのソフトウェアでは、一般的に機能が単純なものほど性能が高い傾向があります。特に、アーカイブ機能を利用する場合には注意が必要です。アーカイブ機能を持つメーリングリストサーバのソフトウェアでは、記事を読みやすくするためにメールをスレッド表示するようにしているものがほとんどです。これらのソフトウェアでは、メールが届く度、関連するスレッドを検索し、適切なスレッドと結びつけるという処理が行われます。私たちの経験上、この処理は非常にディスク負荷が高く、メーリングリストサーバの性能に大きな影響を与えます。
メールには、それほどのリアルタイム性は要求されません。ですが、たくさんのメールが集中するメーリングリストサーバでは、慢性的にメールの配送が遅延するなどの問題が発生することがあります。そのため、アーカイブの取得が必要かは、導入検討にあたって考慮しておく必要があります。
また、配送の遅延が発生するような負荷が発生した場合には、メーリングリストサーバを複数のサーバに分けたりする必要があります。ただ、一般的にはそれに対応したサーバソフトウェアはほとんどありませんので、状況に応じて、システムの設計者が様々な工夫で対処することになります。
デージーネットの取り組み
デージーネットでは、インターネットサービスプロバイダ用のシステム構築などで、OSSを利用したメールシステムの構築やサポートの実績を数多く持っています。こうした経験を生かし、お客様の用途や利用環境に合わせて、最適なソリューションを提案しています。コンサルティングやシステム構築サービス、導入後に安心してお使い頂くためのサポートやメンテナンスのサービスなどを行っています。また、各ソフトウェアの技術的な詳細についてまとめた調査報告書を作成し、当サイトで無料で提供しております。ソフトの導入を検討する際や運用の参考に、どなたでもご覧いただけます。
導入後のサポートでは、システム全体のサポ―トを行います。Q&A対応やインストールしたソフトウェアに対するセキュリティ情報を提供し、障害の発生時に障害の回避、原因の調査を行います。必要な場合には、ソースコードレベルの調査やコミュニティとの連携なども行います。システムの導入をご検討の方向けに無料の見積も実施しておりますので、お気軽にご相談ください。
メーリングリストOSSの関連情報
Sympa調査報告書
Sympaとは1990年代に開発が開始されたメーリングリストソフトウェアです。基本的な機能に加え、DKIM/ARCへの対応、投稿の保管庫、各種カスタマイズ機能があります。調査内容やメーリングリストの作り方などをまとめた資料を無料でダウンロードできます。
Mailman 3調査報告書
Mailman 3は、Free Software Foundationが開発を行っているメーリングリスト管理ソフトウェアです。使い方やインストール手順、Mailman 2との違いなどの詳細について掲載した資料を無料でダウンロードできます。
メーリングリスト管理ソフトウェア〜Sympa〜
Sympaは、多くの研究機関、大学、企業で採用されているメーリングリスト管理のソフトウェアです。このページでは、特徴や機能、利用にあたっての注意点について解説しています。
Mailman〜OSSのメーリングリストサーバ〜
Mailmanは、オープンソースのメーリングリスト管理ソフトウェアです。各種Linuxディストリビューションに採用されていて、パッケージを使って簡単に導入することができます。
postLDAPadmin〜メールサーバのユーザ管理用GUI〜
postLDAPadminは、弊社が開発したオープンソースソフトウェアです。メールサーバのユーザ設定をWebインターフェース上で一元管理することができます。ここでは、詳しい機能や活用方法について解説します。
注目の問い合わせ管理システムおすすめOSS〜CuMAS〜
CuMASとは、問い合わせメールの管理を行うための弊社が開発したオープンソースソフトウェアです。問い合わせ管理システムの導入により、ユーザからの問い合わせを一元管理し、対応の漏れを防ぎ業務の効率化が期待できます。この記事では、その機能やメリットを解説します。