構築事例:CentOS8からAlmaLinuxへOS移行
今回は、ケーブルテレビ会社様にてCentOS8からAlmaLinuxへの移行をした事例についての記事です。お客様は、2021年12月末のCentOS8サポート終了に伴い、新たなOSへの移行を検討されていました。移行による現行サービスの停止をなるべく最小限に抑えたいとのご要望でした。
- お客様が悩まれていた課題
- CentOS8がサポート終了となってしまった
- 新たなOSへ早急に切り替える必要がある
- 平日の日中帯での移行作業が難しい
- +導入企業プロフィール
- ★
導入企業業種
情報・通信
ユーザー規模
-
利用OS
AlmaLinux8.5
導入月
2022 年 4 月
デージーネットが提案した「CentOS8からAlmaLinuxへOS移行」
CentOS8からAlmaLinuxへの移行作業を提案
CentOS8からの移行OSとして、Linuxディストリビューションの一つであるAlmaLinuxを推奨しました。CentOSからAlmaLinuxへの移行では、「almalinux-deploy、An EL to AlmaLinux migration tool」という移行のスクリプトをGitHubサイトから公式にダウンロードすることが可能です。そのツールを利用できる点、過去に弊社で移行を完了した実績がある点などから、AlmaLinuxを提案しました。
AlmaLinuxとは
AlmaLinuxとは、無料で利用可能なRed Hat Enterprise Linux(以下RHEL)のクローンで、CloudLinux Inc.という企業が母体になって開始されたプロジェクトです。RHELのクローンとして開発されているため、RHELやCentOSと全く同じように利用が可能です。RHELやCentOSの操作やコマンドに慣れているユーザであれば、問題なくAlmaLinuxを使用することができます。
CentOS8からAlmaLinuxへの移行
CentOS8は2020年12月に、2021年12月末でサポート終了すると発表されました。現在CentOSでサポートが継続されているCentOS7も2024年6月にサポート終了となるため、CentOSサーバーを利用し続けることが難しくなりました。CentOSはRHELのクローンOSとして開発され、RedHatがコミュニティの支援を行う互換ディストリビューションとして長らく使用されていました。CentOSの突然のサポート終了を受けて、弊社でもソフトウェアのアップデート作業にも影響が出てしまうため、前述の通りAlmaLinuxへの移行を推奨しました。
CentOS8の代替OSの候補となるディストリビューションは、Rocky Linux、Oracle Linux、Ubuntu等いくつかあります。CentOS Linuxの開発元のCentOS Projectが継続して提供するCentOS Streamもあります。その中から弊社がAlmaLinuxを選択した理由は、2029年までという長期のサポートが約束されていることがまず挙げられます。加えて、アップグレード速度もCentOSと同等以上であり、セキュリティ情報の提供も行われていることから検索や確認をしやすく、安心して利用できるためです。CentOSプロジェクトもCentOS 6から7や、CentOS 7から8などメジャーなバージョンの変更が行われた際には、混乱や遅延が見られました。AlmaLinuxは 2021 年 3 月に他のプロジェクトに先駆けて正式版がリリースされ、オープンソースとして公開されて以降、CentOSと比較しても遜色ない速度でパッケージ提供が行われています。
AlmaLinuxについて、詳しいインストールの手順やOSのrelease等の情報は、AlmaLinux調査報告書をダウンロードしてご確認頂けます。 デージーネットでは、実環境で問題になりそうなポイントを網羅するCentOS8サーバを起動し、サードパーティ製のカーネルモジュールがインストールされている場合も含め、移行後の動作検証を行っています。
夜間帯での作業を提案
今回、顧客管理システムとネットワーク監視システム用のOSでしたので、常に稼働しているシステムのOS移行ということでした。お客様からは、サービス停止の状態をなるべく最小限にする方法をとりたいというご要望がありました。そのため弊社では、日中の作業ではシステム停止の影響が出る可能性があると考えたため、トラブルが起きた際に影響が少ない夜間帯での作業を提案しました。
最初の打ち合わせの際に実施日を決定
お客様からは、早急なシステムの切り替えを要望されていました。そのためお客様と事前に細かくスケジュール調整をしました。弊社側で移行完了までのスケージュールを仮で予定を立て、最初の打ち合わせの際に提案を行いました。打ち合わせの際に予め調整していた実施日に決定することができ、あとの作業をスムーズに進めることができました。
導入時の工夫
弊社では、導入の際に以下の工夫を行いました。
現行のサービスの作業停止を最小限にする
CentOS8.5からAlmaLinux8.5に切り替える際に、サービスの継続性を意識しました。どのタイミングでサービス停止が発生し、どのくらいの期間停止しているかなどを事前に試し、テストした上で作業を実施しました。移行の作業を深夜帯に設定したことやテストを実施したことで、現行のサービスの影響を最小限に抑えることができました。
バックアップを取得して想定外の事態にも対応できるように準備
Relax-and-Recoverというオープンソースソフトウェアを利用して、サーバのイメージとしてバックアップのファイルを取得しました。Relax-and-Recoverとは、OSSのLinuxシステムのバックアップを実装する、管理のためのツールです。
OS切り替え中に何か想定外のエラーが表示されサービスの正常性が確保できなかった場合、サーバシステムをリカバリするため、システムの復旧、データの復旧を行う必要があります。通常、システムを復旧するためには、OSのインストール、ウェブサーバ、メールサーバ、データベース等のミドルウェアのインストールをし、それぞれの設定を行う必要があります。これらの作業をひとつずつ実施していては、時間がかかってしまい、迅速な復旧を行うことができません。Relax-and-Recoverは、システムブートができるレスキューイメージをDVDなどのメディアに出力し作成することができるため、簡単にLinuxシステムのリカバリを行えます。想定外の事態にもRelax-and-Recoverによりフォローや修正がすぐできるよう、バックアップ取得時点に戻せる環境を先に用意した上で作業を実施しました。
「OSSのシステムバックアップツール〜Relax-and-Recover〜」へ
CentOS8からAlmaLinux移行後にシステムが利用できているか確認
導入にあたって、弊社で過去にAlmaLinux移行を実行し成功している手順を参照しました。過去の作業と今回の作業で異なる点も洗い出してまとめ、実施の前に技術の面で不安がないかその部分の検証も行いました。検証し、正常に実施できることを確認したため、手順を作成し移行完了後、サーバを再起動して検証を行いました。過去の実績を参考にしたためスピーディーに検証も行うことができました。
導入後の結果
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