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DCIM(データセンター管理)とは

DCIMとは、Data Center Infrastructure Management(データセンター管理)の略で、データセンターの設備や機器を統合的に管理することができるシステムを意味している。(※1)

DCIMにおけるデータセンターとは、サーバやネットワーク機器などのIT機器を収容する施設のことを指す。データセンターは、単に施設として場所や電源、ネットワーク接続を提供するだけでなく、これらのIT機器を適切に管理するための冷却設備や、地震や火災、停電時などに被害を最小限にとどめるための災害対策を備えている。また、物理的なセキュリティ対策(警備員、セキュリティカメラ、アクセス制御など)と、デジタルセキュリティ対策(ファイアウォール、侵入検知システムなど)の両方により、データを保護し高い安全性を維持している。このようにデータセンターは、デジタルデータの集中的な保管・管理を行うインフラストラクチャとして中心的な役割を果たしており、一般企業やプロバイダーなどさまざまな組織に利用されている。

DCIMは、これらのデータセンター内にあるリソース、電力、冷却、セキュリティなどを統合的に管理し、適切に最適化するためのソリューションを提供している。ITインフラストラクチャを効率的に運用・監視するための戦略的なアプローチとして、近年多くの企業や組織がDCIMを導入している。

(※1)DCIMには、Digital Camera Imagesの略で、デジタルカメラ、スマホなどのデバイスで撮影した写真や動画を保存するための標準的なフォルダ名を指すものもある。この記事では、データセンター管理を意味するDCIM(Data Center Infrastructure Management)について説明する。

DCIMの必要性

近年、企業におけるクラウドコンピューティングの普及や、会社のビジネス戦略の判断を支えるデータ活用の拡大・進化に伴い、データセキュリティやプライバシー保護のニーズは年々多様化している。また、自然災害などが発生した際の復旧計画(DRP)やビジネス継続性計画(BCP)の一環として、データのバックアップ、復旧のための施設の検討は重要事項として位置付けられている。こうした状況の中、データセンターは物理的なセキュリティ対策や安全なデータ保管・保護を実現するサービスとして、ビジネスにおいて必要不可欠な要素となっている。

そしてデータセンターの増加に伴い、データセンター内の電源や温湿度、ラックの位置、ケーブリングやIP情報などの管理も複雑化している。しかしながら、未だにExcelなどで台帳を作成してこれらを管理・運用するケースも少なくない。Excelなどのツールは、低コストかつ操作に慣れているという観点から比較的導入しやすいというメリットがある一方で、以下のようなデメリットを抱えている。

  • 同期・検索・集計がしにくい
  • データの増加に限界がある
  • リアルタイムなデータ監視に向いていない
  • 自動化の機能が無いため人的エラーが起こりやすい

DCIMを導入することでこれらの課題を解決し、管理や運用の効率を向上することができる。

DCIMの導入メリット

DCIMを導入することで、次のようなメリットがある。

情報を一元管理できる

散在したデータベースや台帳が集約され、情報を一元化することで、閲覧・検索や集計・分析が簡単に行える。他の部署やメンバーとの情報共有もスムーズになり、データセンターの運用を効率的に行うことができる。そのため、スタッフの業務負担を軽減できるほか、Excelなどを使用して管理する場合に比べてデータの不整合が生じにくいといったメリットがある。

リソースを適切な状態で管理できる

データセンター内のサーバやネットワーク機器などのIT機器を適切に管理することで、これらの機器を常に最適な状態で保つことができる。例えば、冷却装置の熱負荷を適切に制御すれば、データセンター内の適切な温度と湿度を維持し、機器の過熱や故障を防ぐことができる。また、リソースの容量制約やボトルネックの特定が容易になることで、将来サーバ数を拡張する際や新しい機器の導入に備える際にも役立てることができる。こうした効率的なリソース管理と運用の最適化は、電力コストの削減、環境への負荷軽減、人件費の節約にも繋がる。

問題発生時の迅速な対応

データセンター内の機器に異常な動作や障害を発見すると、アラートや通知をユーザーに対して自動的に送ることができる。これにより、何かトラブルが発生した際も、迅速な復旧対応、問題の早期解決を実現し、運用上のリスクを未然に防ぐことが可能となる。

リソースの状態を可視化できる

管理するためのツールには、サーバ、ストレージ、ネットワーク機器、冷却装置など、データセンター内のリソースのリアルタイムな状態を画面上で可視化することができるものも多い。可視化されたデータをダッシュボードにグラフ等で分かりやすく表示・確認することで、問題が発生した際の原因究明もしやすくなる。

DCIMを実現するOSS

以下では、ネットワーク機器の管理を行うことができるOSSを紹介する。

netbox

netboxのラック登録画面

netboxとは、IPアドレス管理(IPAM)やデータセンター管理の機能を兼ね備えたOSSのネットワーク管理支援ソフトウェアである。netbox.devより提供されており、Apache License v2で公開されている。netboxは、機器の配置場所やラック・配線の管理と、IPアドレス管理の両方を行うことができる。各ラックの幅や高さ、中に登録するデバイス数やサイズといった細かい情報も登録でき、実際と同じ機器の保存状態を表示することが可能である。そのため、ハードウェアなどの物理的な実機の管理から仮想マシンの管理まで、幅広くネットワーク周辺の管理を一括で行うことができる。また、比較的新しいソフトウェアであるため、UIが綺麗で使いやすいという点もnetboxの特徴の一つである。さらに、プラグインを追加することでアプリケーションを拡張することができたり、OSSの構成管理ツールであるAnsibleと連携して設定の手間を軽減することができる。

ただし一般的な製品版のソフトウェアとは違い、netboxでは多言語対応が行われておらず、現状は英語のインターフェースしか利用できない。しかし、公式プロジェクト等で多言語対応を予定していることが明記されているため、多言語対応される可能性もある。

phpIPAM

phpIPAMのラック一覧画面

phpIPAMとは、IPアドレス管理(IPAM:IP Address Management)のオープンソースソフトウェアである。サーバ、PC、プリンタ、ウェブカメラ、ルータに加え、近年はIoTデバイスも増加し、ネットワークに接続する機器のIPアドレスの管理は煩雑化している。phpIPAMは、こうしたIPアドレスの管理を効率化するための、さまざまな機能を持つ。

phpIPAMでは、登録したIPアドレスを、Webインターフェース上で一覧表示・グラフ表示することができる。また、各サブネットの管理権限をグループ単位で設定し、ネットワーク別でIPアドレスを管理することも可能である。その他、ネットワークをスキャンして利用中のIPアドレスを検知する機能や、OSSのDNSサーバであるPowerDNSと連携し、IPアドレス管理ツールとDNSサーバ管理を統合するインタフェースも標準で付属している。

デージーネットの取り組み

デージーネットでは、企業のシステムに関わるネットワークや機器を管理するソフトウェアとして、DCIMやIPアドレス管理(IPAM)の機能を兼ね備えたOSSのnetboxを調査した。ソフトウェアのインストール方法や設定方法などの詳細な情報は、netbox調査報告書に掲載しており、無料でダウンロードすることができる。

またデージーネットでは、ネットワーク管理に関連したシステムの構築・保守サービスを行っている。お客様の用途や利用環境に沿った最適なソフトウェアを選択し、ご要望に合わせたシステムを提案している。

【カテゴリ】:システム管理  ネットワーク  

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