- parsedmarc〜DMARCレポート解析ツール〜
- ここでは、DMARCの設定を確認することができるDMARCレポート解析ツール「parsedmarc」を紹介します。
- DMARCレポートの読み方
- ここでは、DMARCを導入すると送られてくる、DMARCレポートの読み方を解説します。

近年、なりすまし(フィッシング)や不正メール対策として注目されているのがDMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting & Conformance)です。DMARCを導入すると「DMARCレポート」と呼ばれるレポートが送られますが、「XML形式で送られてきて読めない」「何を確認すればよいのかわからない」といった課題を感じる方も多いです。本記事では、DMARCレポートの読み方と、DMARCレポートの解析ができるツールを紹介します。

DMARCは、送信ドメイン認証の1つで、SPFやDKIMといった既存のメール認証技術を組み合わせ、なりすましメールを受信側で制御する仕組みです。DMARCを導入すると、「DMARCレポート」と呼ばれるレポートが、GmailやMicrosoft 365などのメール受信事業者からドメイン所有者に対して定期的に送られてきます。
DMARCレポートには、大きく分けて次の2種類があります。
Aggregate Report(アグリゲートレポート)は、ruaレポートとも呼ばれ、DMARC運用の中心となるレポートです。特徴は以下の通りです。
このレポートから、以下のような情報が確認できます。
Aggreage Reportは、DMARCの導入状況や、なりすましメールの有無を客観的な数値(件数・率)として把握できるため、DMARC運用には不可欠なレポートです。
Forensic Report(フォレンジックレポート)は、rufレポートとも呼ばれ、DMARC認証に失敗したメールの詳細を通知するレポートです。主な特徴は以下の通りです。
近年は、個人情報保護の影響もあり、Forensic Reportを送信しないメール事業者も増えています。そのため、実運用ではAggregate Reportを中心に解析するケースが一般的です。
DMARCレポートを正しく読むことで、自社メールの認証状況を理解したり、フィッシングやなりすましの脅威を把握したりすることができます。ここでは、Aggregate Report(XML形式)を例に、DMARCレポートの基本的な読み方を解説します。
DMARC Aggregate Reportは、以下のようなXML構造になっています(簡略化しています)。

まずは以下の部分を確認することが重要です。
メールを送信しているサーバのIPアドレス
メールのFROM(送信元)ドメイン
上記からは、「自社が利用している正規のメールサーバか」「見覚えのないIPアドレスが含まれていないか」を確認します。
次に重要なのが、SPFとDKIMの認証結果です。
DMARCでは、SPFまたはDKIMのどちらかがPass(合格)し、かつFROMドメインとアラインメント(調整)が取れていることが重要です。
例えば、DKIMは「pass」、SPFが「fail」でも、DKIMが正しく設定されていればDMARCとしては問題ないケースもあります。
countの値は、その条件に該当するメール数を示します。特に以下のポイントを確認することが重要です。
もしFail件数が多い場合は、SPF/DKIM設定ミスや外部サービス(MAツール等)の未登録、なりすましメールの可能性などが考えられます。
DMARCは導入だけでなく、レポート分析と運用改善が必須です。しかし、DMARCレポートの運用では、以下のような課題を感じる場合が多く存在します。
DMARCレポートはXML形式で送信されるため、そのままでは内容を一覧で把握しづらい、技術的な知識がないと解析が難しいという問題があります。詳しい担当者でなければ、何を確認すればよいのかわからないといった状態にもなりがちです。
XMLをCSVに変換し、Excelで集計することも可能ですが、レポートは毎日大量に届き、ドメイン・IP・件数の突合も煩雑であるといった理由から、手作業での解析・チェックは現実的ではありません。また、解析や運用が属人化する可能性もあります。
こうした課題を解決するために、DMARCレポート解析ツールの活用が有効です。DMARC解析ツールを利用することで、以下のメリットがあります。
さらに、オープンソースソフトウェアのDMARC解析ツールを使うことで、ライセンスコストを抑えて運用ができる、自社のオンプレミス環境で管理できるといったメリットもあります。
デージーネットは、DMARCレポートの解析ツール「parsedmarc」とBIツールを組み合わせた、「DMARCレポート可視化ツール」をアプライアンスで提供しています。

「DMARCレポート可視化ツール」利用画面イメージ
DMARCレポート可視化ツールは、以下の仕組みでDMARCの結果を可視化します。
DMARCレポート可視化ツールを導入することで、DMARCレポート結果の解析や可視化を効率よく行うことができるようになります。またparsedmarcで取得データは、CSVやJSON形式などに変換して他のシステムで利用する機能もあります。
なお、DMARCレポート可視化ツールで使用しているソフトウェアは全てオープンソースソフトウェアであるため、ライセンスコストは一切かかりません。また、アプライアンスサーバとして提供しているため、お客様の要件を聞いて1から構築する場合と異なり、必要なOSの設定やソフトウェアが既にインストールされた状態で納品します。そのため、短納期かつ低コストで導入することが可能です。詳しくは以下のページで説明しています。
「DMARCレポート可視化ツールのアプライアンスサーバ」の詳細へ
デージーネットでは、DMARCレポート可視化ツールのアプライアンスのほか、送信ドメイン認証を設定したメールサーバーの構築や保守サービスも提供しています。デージーネットで導入したシステムは、Open Smart Assistanceという保守サポートに加入することもできます。利用方法に関するQ&Aやセキュリティ情報の提供を行うため、運用後も安心して利用ができます。導入に関するご相談や構築費用の無料見積は以下よりお問い合わせください。

送信ドメイン認証におけるDMARCには、SPF/DKIM/DMARCの検査状況などをレポートとして受け取ることができる機能があります。parsedmarcとは、そのレポートを解析するツールです。本記事は、parsedmarcについて自社が調査した内容をまとめたものです。

本書は、2023年10月に発表されたGoogleと米国Yahoo!の「メール送信者のガイドライン」を踏まえて、メールの送信ドメイン認証の仕組みとOSSによる実装方法についての情報をまとめたものです。

山口ケーブルビジョン様へDMARCレポート解析サーバを導入した事例です。解析ツールにGrafanaを連携させWEBUIからレポートを確認できるようなシステムを構築しました。

ケーブルテレビ局様の保守を行っているメールサーバに、DMARCの設定を行った事例です。お客様は、Google社や米国Yahoo!社が公開しているメール送信者ガイドラインの対応に向けた、メールサーバの設定追加を検討していました。

DMARCレポート解析ツールのparsedmarcをOpenSearchやGrafanaと連携させ、アプライアンスサーバとして提供しています。parsedmarcで取得したデータを集約し、DMARCレポートの内容を分かりやすく可視化することができます。

Rspamdとは、様々なルールによってメッセージを評価することができる高機能なオープンソースソフトウェアのspamフィルタシステムです。正規表現、統計分析、URLブラックリストなど複数の評価項目をカスタマイズし、スパムメールをチェックすることができます。

OpenSearchとは、Elasticsearchをベースに開発された全文検索エンジンです。ビッグデータ等の大量のデータの検索や解析を高速に行うことができます。両者には似た機能が存在しますが、変更された点もあり一部互換性がなくなっています。

Grafanaとは、オープンソースのダッシュボードツールソフトウェアです。BIツールとして、集めたデータをまとめて可視化し、ダッシュボードを作成します。集計した各データの多面的な見方を提供し、ビジネスに活用する際に役立ちます。