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ローコード開発プラットフォームとは?おすすめOSS比較3選 2023年版

ローコードとは、プログラムコードをほとんど使用せずにアプリケーション開発などを行う手法のことです。ローコード開発プラットフォームを使用することで、プログラミングにあまり触れたことがない人でも直感的にアプリケーションを作成することができます。この記事では、OSSの3つのローコード開発ツールについてまとめ、それぞれのメリットとデメリットを解説します。

ローコード開発プラットフォームとは

ローコード(LowCode)とは、プログラムコードをほとんど使用しない開発方法のことです。一般的にアプリケーションやソフトウェアなどを開発する際は、専門的なプログラミングの知識を理解しておく必要があります。一方ローコードで開発をすれば、プログラミングスキルや経験はほぼ不要です。開発者でない一般の人でも簡単にアプリ開発ができるため、DX化を加速させる手段として注目を集めており、ローコード開発プラットフォームの導入を検討する企業が増えてきています。

ローコード開発を行うためのプラットフォームでは、GUI(Graphical User Interface)を使用して操作します。画面上に用意されたパーツを、ドラッグ&ドロップの簡単な操作で積み木のように組み合わせる方法で開発を進めます。既に完成された機能を組み合わせて設計するだけなので、従来のプログラミングを用いた開発に比べ、大幅に開発スピードを速めることができます。そのため、ローコードによる開発は「高速開発」や「超高速開発」とも呼ばれています。

ローコードとノーコードの違い

ローコードと似ている言葉でノーコードが存在します。ローコードもノーコードも、プログラミングスキルがない人でも開発できるという点は同じです。しかし、ノーコードはプログラミングを全く使用せず開発するのに対し、ローコードでは、若干のプログラミングを用い、要件に応じて開発を進めるといった違いがあります。ノーコード開発の方が実装は容易ですが、決められた機能の範囲内で開発するよりはユーザー独自で自由にアプリをカスタマイズしたい、ユーザー主体の開発を行いたいといった場合は、ローコード開発が適しています。

ローコード開発のメリット

現在、多くの企業でDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が求められ、今後もその流れはさらに加速していくと考えられます。DX化によってビジネス環境が大きく変化し、組織内で扱うシステムの規模も大きくなるにつれて、エンジニア等のIT人材の確保が課題となってきています。

そうした状況の中、ローコードを用いたシステム開発を行うことで、システムの導入のハードルを下げることができます。ローコード開発は、業務の効率化や開発コストの削減はもちろん、IT分野の人材不足を気にすることなく新規ビジネスを展開できるソリューションとして、大きな可能性を秘めています。

ローコード開発のOSS①『Pleasanter』

Pleasanter UI

Pleasanter(プリザンター)とは、画面操作だけでデータベース型の業務アプリケーションを作成することができるローコード開発プラットフォームです。株式会社インプリムという日本の企業が提供しており、商用ライセンスの下で提供されるエンタープライズ版と、AGPLのライセンスで提供されるコミュニティ版(OSS版)があります。コミュニティ版は扱える項目数が26項目までに限定されているのに対し、エンタープライズ版は最大900項目まで扱えます。なお、デージーネットはPleasanterの認定パートナーです。販売・提案、教育、導入・開発などの技術サポートを提供しています。

Pleasanterのメリット

Pleasanterを使うことで、ノンプログラミングでWebデータベースを構築でき、さまざまな業務に活用することができます。主に以下のようなメリットがあります。

WebUIから簡単に利用できる

Pleasanterでは、業務データをExcelライクな表形式で共有できます。そのため、非技術者でも直感的に操作することが可能です。さらに、Pleasanterには標準で多種多様なテンプレートが用意されています。テンプレートは独自でカスタマイズすることもできるので、ボタンのクリック操作のみで自社の業務にマッチした自由度の高い専用アプリケーションを開発できます。

複数の業務アプリと連携できる

Pleasanterは、APIの連携機能を利用することができます。APIとは、ソフトウェアとプログラムをつなぐインターフェイスのことです。このAPIで外部システムと連携することで、他のDBからデータをインポートしたり、外部のプログラムからデータを更新することができます。複数の業務をPleasanterに集約できるため、業務における用途の範囲も広がります。

なお、PleasanterとCarboneJSというOSSを連携させることで、Pleasanterで作成した見積書や発注書などの帳票をさまざまな形式で出力できます。

ワークフローを作成することができる

Pleasanterの「プロセス機能」や「状況により制御できる機能」を利用して、ワークフローを実現することができます。これにより、社内で発生する物品購入の稟議申請や有休等の申請をPleasanter上で行うことが可能です。差戻しや取り下げ、経理部への回覧もプラスの設定として追加することが可能です。

Pleasanterのデメリット

Pleasanterを使う際は、以下の点で注意が必要です。

対応しているDBが少ない

既存のDBとの連携を行うためには、APIを利用して連携するためのツールを開発する必要があります。

データを出力する際、テーブル間の結合が難しい

Pleasanterは、リンク機能を活用しテーブル間の情報共有を行うことができます。しかし、SQLのJOINの処理を行うことはできません。

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ローコード開発のOSS②『iPLAss』

lowcode_iPLAss

iPLAssとは、「GNU Affero General Public License v3.0」ライセンスで提供されている、javaベースのローコード開発プラットフォームです。オープンソース無償版「iPLAss」と有償版「iPLAss Enterprise Edition」のエディションが提供されています。「iPLAss Enterprise Edition」では、オープンソース版の基本機能に加え、セキュリティ機能の強化、BI、ワークフロー、ジョブスケジューラー機能など、エンタープライズクラスのシステムに求められる機能が追加されています。

iPLAssのメリット

iPLAssを利用することで、主に以下のようなメリットがあります。

対応しているデータベースが多い

iPLAssは、OracleやMySQLPostgreSQLなど様々なデータベースに対応しています。iPLAssの対応しているデータベースは以下になります。

  • Oracle 11gR2 以上
  • MySQL 5.7 以上
  • SQL Server 2012 以上
  • PostgreSQL 9.6 以上
  • Amazon Aurora
PDFやExcel形式での帳票出力が可能

iPLAssは、作成したテンプレートをPDFやExcel形式での出力することができます。そのためシステムにログインすることができないユーザにも情報を共有することが可能です。

iPLAssのデメリット

iPLAssを使う際は、以下の点で注意が必要です。

RDB等の知識が必要

iPLAssは、GUI上でデータの定義や設定を行い、定義したデータから登録や削除等の機能を自動的に構成することができます。しかし標準機能で提供されない機能は、JavaまたはGroovyでコーディングを行う必要があります。そのためJavaまたはGroovyの言語の知識が必要となります。

iPLAssを利用することで、簡易的な業務アプリであれば、プログラミング言語の記述が一切不要なノーコードでの開発が可能となります。一方で、標準機能で提供されない部分は、JavaまたはGroovyでコーディングを行う必要があり、ノーコードとコーディングを組み合わせて開発するという特徴があります。

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ローコード開発のOSS③『Open Lowcode』

Open Lowcodeとは、GUIベースではなくソースコードベースで開発を行うローコード開発環境です。「Eclipse Public License 2.0」ライセンスで公開されています。

Open Lowcodeのメリット

Open Lowcodeを利用することで、主に以下のようなメリットがあります。

拡張性が高い

Open Lowcodeは、他のプラットフォームよりもフレームワークの要素が大きいです。iPLAssやPleasanterのように、すでに準備されているパーツをGUI上で組み合わせるのではなく、空白のシートからアプリケーションテンプレートで必要なものを定義する工程から行います。そのため、非常にカスタマイズ性が高く、より柔軟に要望に合わせたアプリケーションが設計できるのが特徴です。コアなニーズのアプリであっても作成可能です。

Open Lowcodeのデメリット

Open Lowcodeを使う際は、以下の点で注意が必要です。

インストールが難しい

Open Lowcodeのインストール時は、javaのプログラムを実行する為の設定を行う必要があります。メリットでも記載したように、拡張性や柔軟性が高い分、モジュールやオブジェクト等のプログラミングの知識が必要です。

Open Lowcodeを使用することで、タスク管理やワークフロー管理等のアプリケーションを迅速に作成することができます。しかしソースコードを組み合わせたり、ソースを変更してアプリ開発を行ったりなど、ソースコードベースでの開発が必要となります。知識のある技術者でなければ利用が難しいですが、自社専用に自由にカスタマイズしたアプリケーションを作成したい場合に適しています。

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まとめ

ローコード開発を行う際は、利用目的や運用方針、環境などによって、事前に使いやすく適切なツールを選定する必要があります。以下では、今回紹介しソフトウェアが実際にどのようなケースで活用できるか、用途別のおすすめのツールをまとめました。

非技術者が利用するなら『Pleasanter』

Pleasanterの最大の特徴は、表形式のデザインのWebUIを使って直感的な操作ができる点です。さらに、あらかじめ用意されているテンプレートをカスタマイズすることで、簡単な操作で複雑なアプリケーションを開発することも可能です。また、APIで外部のデータベースと連携すれば、プログラミング言語を使わなくても、複数の業務をWebデータベース化することができます。そのため、専門的な知識のない人がアプリケーション開発を行う場合におすすめです。

技術者の生産性向上を図るなら『iPLAss』

iPLAssの最大の特徴は、ノーコードとコーディングを組み合わせた開発が可能という点です。簡易的なアプリであればノーコードのみで開発を行うことができますが、標準機能で提供されない部分は、JavaまたはGroovyによるコーディングが必要です。そのため、非技術者が利用するというよりは、技術者の生産性を高め、短期間でアプリ開発をしたい場合におすすめです。

自社専用にカスタマイズしたいなら『Open Lowcode』

Open Lowcodeの最大の特徴は、拡張性が高いという点です。他のツールのようにGUI上でパーツを組み合わせて開発を行うのではなく、ソースコードを使って空白のシートに必要なものを定義するところから行います。プログラミング知識がある技術者でないと利用が難しいですが、自社の要望に柔軟に対応できるアプリを開発したい場合におすすめです。

「情報の一覧」

プリザンター〜ローコード開発プラットフォーム〜

OSS情報_プリザンター

この記事では、ローコード開発プラットフォーム「プリザンター(Pleasanter)」の特徴・機能・使用用途などを詳しく説明しています。また、プリザンターのサポートサービスやデージーネットの取り組みも紹介しています。

Pleasanter調査報告書

調査報告書

Pleasanterとは、オープンソースのビジネスアプリケーションプラットフォームです。ノンプログラミングでWebデータベースを構築することができます。本書はPleasanterについて調査しまとめたものです。

CarboneJS調査報告書

調査報告書

Carboneとは、PDF、DOCX、XLSX、ODT、PPTX、ODSなどのドキュメントテンプレートとJSON形式のデータを組み合わせてドキュメントを生成するライブラリです。本書は、CarboneJSについて調査した内容をまとめたものです。

Pleasanterによるワークフローアプリ作成調査報告書

調査報告書

Pleasanterにはバージョン1.3にて「プロセス機能」が実装されました。プロセス機能を利用すると、ワークフローのような状態遷移をともなうアプリをコードを書くことなく開発することが可能です。本書はPleasanterによるワークフローアプリ作成についてまとめたものです。

ローコード開発ツール比較調査報告書

調査報告書

本書ではOSSのローコード開発ツール・プラットフォームとして、iPLAssとOpenLowcodeのメリット・デメリットを比較しています。これらのツールを使うことで、プログラミングスキルが必要というアプリケーション開発の課題を解決することができます。

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