よくある質問・用語集

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ノーコードとは

ノーコード(NoCode)とは、プログラムコードをまったく書かずに、Webサービスの制作やアプリケーション開発を行うことである。あるいは、そのような開発を実現するプラットフォームのことを指している。一般的なアプリケーションの開発は、プログラムコードを記述する手法を採っている。しかし、ノーコード開発ではプログラミングが不要となる。そのため、ノーコードを用いることによって、プログラミング言語のような専門的なスキルのない人でも簡単にアプリケーション開発を実現することができる。

ノーコードが注目されるきっかけとなったのは、2019年にアメリカのWebサイト「Product Hunt」で公開された、Ryan Hoover氏が書いたブログ 「The Rise of “No Code”」とされている。さらに、2020年にGoogleがノーコードの会社を買収したニュースが話題になり、ノーコードは幅広い業界でトレンドとなった。現在、各開発会社によって、モバイルアプリやゲーム開発、データベースの構築など、様々なカテゴリーのノーコードプラットフォームがリリースされている。コロナ禍の影響で店舗販売からオンライン販売への需要が高くなったこともあり、ShopifyやSTORESのようなECサイトを開設できるツールも人気である。これらのノーコードプラットフォームを使えば、非エンジニアでも業務に必要な開発が行える。ノーコードは、IT人材不足を解決し、今後新しいビジネスモデルを確立する可能性を秘めている。

ノーコードはなぜ注目されているか

近年、ノーコードは日本だけでなく世界中で需要が高まっている。ノーコードが注目される背景として、以下のような点が影響していると考えられる。

DX化の推進

現在、多くの企業がDX(Digital Transformation/デジタルトランスフォーメーション)の推進に力を入れている。DXとは、「ITを浸透させることで、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という、ITをビジネスに取り入れることで企業が豊かになるプロセスを指す。DXの促進によりさまざまな業種・業界でIT化への取り組みが行われ、デジタル化できるツールを開発・導入する企業が増えている。企業がDX化に対する課題を解決していくためには、日々変化するビジネス環境に対して迅速な対応が必要となってくる。こうした状況の中、アプリの開発や変更においてもスピーディーさや効率化が求められ、ノーコード開発のニーズが伸びている。

IT人材の不足

企業でデジタル化への取り組みが急速に進む中、エンジニアなどのIT人材のニーズが追いつかず、ビジネス環境の変革についていけないという課題がある。こうしたIT人材が確保できないために、DX化に取り組むことが難しいなどの問題も起こっている。ノーコードは、プログラムコードを書く必要がなく、専門知識を持った技術者でなくても簡単にシステムの開発や構築を行うことができるため、IT人材不足を解消する手段として需要が高まっている。

ノーコードのメリット

ノーコードを活用することによる代表的なメリットとして、以下の3つが挙げられる。

  • 素早い開発ができる
  • プログラミングの知識が不要
  • 開発費用を抑えられる

素早い開発が可能

ノーコード開発は、プラットフォーム上のツールを積み木のように組み合わせて行う仕組みのものが多い。GUI(画面操作)のみで直感的に操作ができるため、従来のソースコードを記述する手法に比べ、スピーディーに開発を進めることができる。アプリを開発するノーコードプラットフォームで有名なものでは、Bubble、Adalo等が当てはまる。ノーコードプラットフォームの中には、スプレッドシートやExcelなどのデータを読み込むとAIが自動でプロトタイプを作成してくれるものもある。AppSheet、Glide等がこれに該当する。いずれのタイプもベースとなる開発環境が整い、従来の手順を効率よく省略することが可能なため、開発にかかる工数を大幅に削減することができる。さらに運用におけるシステム変更にも素早く対応しやすくなる。アプリケーションをユーザーの需要に柔軟に合わせ、最新のプログラムにカスタマイズすることが可能となる。

プログラミングの知識が不要

ノーコードはプログラムコードを記述することなくアプリケーション開発を行える。そのため、これまで必須であったプログラミングの知識というハードルが除かれ、誰でも開発が可能となる。開発ツールやテンプレートはあらかじめノーコードプラットフォームに用意されていて、必要な要素に対応したパーツをドラッグ&ドロップの簡単な作業で組み合わせていく。エンジニアでなくても簡単に理解できるものが多いため、実際にその業務に携わり現場の要望を知っている担当者が自分で開発者となり、目的に合わせて作ることが可能である。システムの管理やトラブル発生の際の処理がしやすくなるというメリットもある。これによりエンジニアは他の重要な開発に集中することができ、業務効率化にもつながる。人の技術に左右されることがないため、IT人材不足の問題を解消できることから、DX化の推進に繋がる。

開発費用の抑制

先で述べたように、ノーコードを導入すれば誰でもアプリケーションを開発できる。したがって、新規に専門の技術者を採用・育成したり、外部に依頼する必要がなくなり、自社で独自の開発が可能となる。通常は専門技術者によるプロジェクトチームが設計やテストを実施し数ヶ月かけて行うアプリケーション開発も、ノーコード開発では既存のスタッフが短期間で実施できる。少ない予算で、新しい分野のIT化も可能となる。人材にかかる費用だけでなく、時間的な費用の削減も期待される。

ノーコードのデメリット

ノーコードにも短所がある。以下の4つのポイントで注意点がある。

  • 大規模なシステムには不適切
  • プラットフォームへの依存度が高い
  • ツールの選定にコストがかかる
  • セキュリティの問題

大規模なシステムには不適切

ノーコードは一般的に、シンプルで小規模なアプリ開発向けのプラットフォームである。プログラムコードの記述を必要とする複雑なシステムは構築できない。プラットフォーム上のUIに設定されている基本のツールやテンプレートを、システムに合わせて結合させていく。すでに作成されている規格の範囲内で開発を行うため、機能の拡張性には限界がある。基幹業務システムのような、プラットフォームに実装されているツールを超える規模の大きなシステム開発には向いていない。

プラットフォームへの依存度が高い

ノーコードは、ノーコードプラットフォーム上の機能を利用して開発を行う。利用できるツールやデザインもそれぞれのプラットフォームごとに異なるため、その分自由度は低くなってしまう。また、万が一プラットフォーム側のサービスの提供が終了してしまうと、これまでに開発してきたものが全て利用できなくなってしまう危険性がある。このように、ノーコード開発はプラットフォームによって利用できる機能に制限が出てしまうというデメリットがある。そのため、新たにノーコード開発プラットフォームを導入する際などは特に注意が必要である。

ツールの選定にコストがかかる

ノーコードではコーディングが不要となる代わりに、プラットフォームの選定には時間的コストがかかる。プログラムコードの記述をすることができないため、元のプラットフォームに備わっているツール以上の要素が求められる開発は難しい。どのようなアプリを開発するのか、その開発に何のツールが求められるのかをイメージ、分析してから、適したツールを選定することが重要である。

また、初心者が利用する場合、ツールの使いやすさもプラットフォームを選ぶ際のポイントとなる。現状、ノーコード開発プラットフォームは海外の企業が提供しているものが多い。英語での操作が可能な人材がいない場合は、日本語で使えるかどうかの確認も注意点としてあげられる。さらにツールの導入後、ユーザーツールを利用してアプリケーションを作成するまでに、ツールの操作を学習する必要がある。そのため、ツールの使い方の習得や運用までに時間がかかる場合もある。

セキュリティの問題

ノーコードは、プラットフォームに依存してしまうというデメリットもあるが、これはセキュリティの問題にもかかわっている。ノーコードのアプリケーションは、既に用意されているシステムを利用するため個々にセキュリティの対応をすることが難しい。また、ノーコードプラットフォームにはクラウドサービスで提供されているものが多い。特に、個人情報や社内の機密情報を扱うツールを作成する場合は、クラウド上にその情報を置いておくことになってしまう。情報漏洩のリスクが不安な場合は、オンプレミス環境に構築できるノーコード開発プラットフォームを利用するなどの対策が必要である。

ローコードとの違い

ノーコードと似た言葉に、ローコードがある。どちらも、プログラミングにかかるコストを抑えたプラットフォームという意味では同じだが、1点違いがある。それは、プログラムコードを記述する程度である。前述の通り、ノーコードはプログラムコードの記述が「一切不要」であるのに対し、ローコードはプログラムコードの記述を「必要最小限」に抑えられている。そのため、ローコードに比べてノーコードはシステム構築にかかる労力を最小化することができる。

一方でローコードが持つ魅力として、開発の一部で若干のプログラミングを用いるため、プログラミングの知識や理解がある程度あれば、ノーコードに比べ開発の自由度が高くなるという点がある。そのため、他のシステムと連携させたり、複雑な処理が必要な場合に機能を追加したりなど、よりユーザの要望や要件に沿った最適なアプリ開発を実現することができる。

なお、デージーネットでは、オープンソースソフトウェアのローコード開発プラットフォームについて調査を行い、以下の記事で3つのソフトウェアの特徴を紹介している。それぞれのソフトウェアが実際にどのようなケースで活用できるかを解説し、用途別の選び方もまとめている。

デージーネットの取り組み

デージーネットでは、OSSのローコード開発ツール・ローコードプラットフォームについて調査し、「ローコード開発ツール比較調査報告書」に調査内容をまとめている。調査報告書は無料でダウンロードが可能である。調査報告書では、OSSの3つのローコード開発ツール・プラットフォーム「Pleasanter」「iPLAss」「Open Lowcode」についてまとめ、それぞれのメリットとデメリットを比較・解説している。

なお、デージーネットでは、ローコード開発の導入を検討されているお客様に対して、OSSのローコードプラットフォームであるPleasanterを提案している。デージーネットはPleasanterの認定パートナーとなっており、Pleasanterの販売/提案、教育、導入/開発、サポートなどの技術サポートを提供している。そのほか、独自の運用マニュアルの作成など、必要に応じた技術サービスをお客様へ提供している。Pleasanterには、商用ライセンスの下で提供されるエンタープライズ版とAGPLのライセンスで提供されるコミュニティ版(OSS版)が存在する。PleasanterのOSS版の調査・検証を行った結果として、インストール方法や基礎の使い方などの詳細をPleasanter調査報告書に掲載している。調査報告書は無料でダウンロードが可能である。

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