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無料で使えるOSSのBIツール比較6選

BIツールとは

BIツールとは「ビジネスインテリジェンスツール」の略で、蓄積されたデータを分析し、意思決定を支援するためのツールやシステムを指します。意思決定というと、経営者の経営判断を想像して、非常に大げさに聞こえます。しかし、実際にはデータを加工し分かりやすく表示することで、ビジネスにおける様々な情報の分析を効率化し、最適な判断ができるようにするツールと考えることができます。BIツールの適用範囲は広く、基幹業務、販売管理、マーケティング、予算管理、在庫管理、組織管理や経営に必要な統計解析まで幅広い分野で使われています。

例えば、営業活動の様々なデータの中から、どのような場合に売上が上がるのかを可視化することができます。またはプロジェクトの管理データから、ボトルネックになっている業務を発見する際にも利用することができます。こうした業務は、Excelなどを使って行うこともできますが、非常に時間がかかります。

このようなデータの活用プロセスをAIで自動的にやってくれるものもあります。しかし、すべてのケースに対して効果のある手法があるわけではありません。そのため、どのデータソースから、どのようなデータを持ってくるのか、どのようにデータを加工し、どのような形式で表示するのかは利用者が決めることになります。BIツールを使うと、的確かつ素早く情報を活用できるように、利用者を支援します。

BIツール導入のメリット

実際に意思決定をする場合には、次のような段取りを取ることになります。

  1. 様々なデータの抽出と分析、可視化(レポート作成、ダッシュボード作成)
  2. データを元にした仮説と検証(多次元解析)
  3. 統計的な法則性の発見(データマイニング)
  4. データによる予測(プランニング)

つまり、BIツールは、これら4つの活動の支援を行うためのツールといえます。そのため、BIツールを導入すると次のようなメリットがあります。

  • データを可視化し、分かりやすく表示する
  • 専門家でなくても、データを活用することができる
  • プログラミングや表計算ソフトなどにくらべて、迅速に解析を行える
  • リアルタイムに解析が行える
  • 課題をリアルタイムに把握し、迅速に意思決定ができる

BIツール選定の基準

BIツールを選ぶには、次のようなことに気をつける必要があります。

  • 様々なデータソースからデータを集めることができる
  • グラフや地図表示など、用途にあった表示形式が利用できる
  • プログラミングの知識がなくても利用できる
  • ツールの利用者と管理者を分けることができる
  • 利用者に合わせて情報を表示できる
  • データの機密性を守ることができる

最近はGoogle Data Studioなど、クラウド型サービスでもBIツールが提供されています。しかし、データの機密性が気になる場合には、クラウド型サービスは利用しづらく、オンプレミスで使いたいという問題があります。

ここでは、これらの選定基準を念頭において、オープンソースソフトウェアとして公開されており、ライセンスが無料で利用できるBIツールのソフトウェアを紹介します。

OSSのBIツール

Grafana

Grafana画面

Grafanaは、ダッシュボードを構築することができるOSSのソフトウェアです。Grafana Labsが開発し、オープンソースとして公開しています。Elasticsearch、InfluxDB、MySQLPostgreSQLZabbixなど30種類以上のデータソースからデータを収集し、ダッシュボードとして表示することができます。MySQLやPostgreSQLなどのRDBのデータだけでなく、Elasticsearchなどビッグデータ系のデータベースや、MongoDBなどのNoSQLをサポートしていることと、Zabbixなど監視ソフトウェアのデータを扱えることが最大の特徴です。

ダッシュボードは、Webインタフェースから利用できます。また、表やグラフの作成・配置、操作が簡単に行えます。時系列データの解析を行う時には、特に強みを発揮します。ここで紹介されているツールの中では、最も幅広い用途で使われていて、安定性がよいツールといえます。また、アラートの送信機能もあり、リアルタイムに状態を知らせることができます。

Grafanaは、LDAPActiveDirectoryと連携してユーザ管理を行うことができます。そのため、担当者の業務や役割に合わせたダッシュボードを表示することができます。また、SAMLにも対応していて、IdPと連携したシングルサインオンも可能です。認証したユーザをもとに、ユーザとチームの単位でアクセス制御を行うことができ、ユーザの業務や役割に合わせたダッシュボードを表示できます。ただし、グラフのタイトルなどに日本語を使うことはできますが、表示は日本語化されていません。

Grafana無料資料

Metabase

Metabase画面

Metabaseとは、Metabaseプロジェクトによって開発されているオープンソースソフトウェアのデータ可視化ツールです。Metabaseは、Javaで開発されたアプリケーションで、Metabaseのjarファイルをシステムに設置して実行します。jarファイルをダウンロードし設置するだけなので、インストールもとても簡単です。また公式のDockerイメージも提供されています。

Metabaseは、MySQL、PostgreSQL、Oracle、SQLiteなどのRDBを中心に12種類のデータソースを扱うことができます。グラフの種類が豊富なのが特徴です。また、クエリビルダーの機能があり、簡単なデータベースであればSQLの知識がなくても解析を行うことができます。一方で、管理者が複雑なSQLを設定しておくこともできます。

認証は、LDAPに対応しており、ActiveDirectoryとも連携できます。認証したユーザに毎に、データソース毎に権限設定ができます。まだ開発されて間もないことから、機能的に不十分だったり、バグも存在します。しかし、そうしたことに注意すれば、十分に利用できるとして注目されています。とても使いやすく、将来が期待されるソフトウェアです。

Metabase無料資料

Kibana

Kibana画面

Kibanaは、ビッグデータ解析で知られるElasticsearch社が開発し、管理しているオープンソースのBIツールです。表示可能なグラフの種類が豊富で、データの可視化ツールとしては非常に強力なツールです。Elasticsearchでの利用に特化しているのが特徴のため、Elasticsearchと組み合わせて利用するBIツールとして非常に有名なツールです。

ユーザ認証はLDAPやActiveDirectoryと連携して行うことができます。しかし、ユーザ管理の機能は弱く、利用者毎にダッシュボードを分けることはできません。そのため、担当者の業務や役割によってダッシュボードを分ける必要がある場合には、Grafanaの方が適しています。

Kibana詳細情報   

Graylog

Graylog画面

Graylogは、Graylogプロジェクトが開発管理しているオープンソースソフトウェアです。他のBIツールとは異なりデータの収集から行い、自動的に前処理を行うことができます。ログのようなテキスト形式のデータをリアルタイムに解析するのに適しています。また、多彩なAPIとプラグインを利用して、様々な形式のデータに対応できます。

バックエンドにビッグデータ向けの全文検索データベースであるElasticsearchを使っているため、大量のデータを効率よく解析することができます。文字データだけでなく、数値のデータも取扱いができます。データの可視化もサポートし、ダッシュボードを作成することもできます。そのため、既にデータベースに入っているデータではなく、これから解析する必要のあるデータを扱う場合に適したツールです。

認証は、LDAPやActiveDirectoryにも対応していて、ユーザやグループ毎に権限の設定が可能です。同じくElasticsearchに対応しているGrafanaとの併用も可能です。残念ながら日本語化はされていませんが、デージーネットがマニュアルを日本語化し公開しています。

Graylog詳細情報    Graylog無料資料

Re:dash

Re:dashは、Re:dashプロジェクトが管理しているオープンソースのBIツールです。50以上のデータソースに対応しているのが特徴で、ここで紹介しているOSSでは最も多くのデータソースに対応しています。ただし、Dockerイメージのみが配布されているため、利用するにはコンテナ型仮想化の知識と環境が必要になります。

ユーザ認証は、ローカルデータベースによるものだけで、LDAPやActiveDirectoryとの連携はできません。また、権限管理は読込み、書込みの2種類のみで細かな設定を行うことができません。Metabaseのようなクエリビルダーの機能もないため、利用者にはSQLなどデータベースの知識が必須です。

表示はすべて英語で、ソフトウェア自体に国際化の仕組みがないため、今後も日本語対応されることは期待できません。

Apache Superset

Apache Supersetは、Airbnb社が開発したBIツールで、現在はApache Software Foundationのインキュベーションプロジェクトという位置づけで開発が行われています。クエリビルダーの機能を持っていますが、部分的にPythonの知識が必要になるなど、グラフを生成するまでのフローの癖が強く、デージーネットでは使い方が難しいと評価しています。日本語化の仕組みがあり、部分的には日本語化されています。

まとめ

Grafanaは、扱えるデータソースの数が多く、認証の機能なども優れているため使いやすいツールです。しかし、日本語化がされていなかったり、クエリビルダーの機能がないためSQLなど扱うデータソースの知識が必須だという欠点があります。

Metabaseは、クエリビルダー、グラフ表示の種類、認証とアクセス制御などの機能が優れていて、使いやすいソフトウェアです。ただし、バージョンが1.0に到達しておらずバグがあります。現時点では、既に蓄積されたデータがある場合、このどちらかを使うべきだと考えられます。また、これから大量のデータを収集して解析する場合には、Graylogを利用するのが便利です。

デージーネットの取り組み

デージーネットでは、Graylogの日本語マニュアルを公開するなど、BIツールの分野でもOSSの活用とBIツールの導入について支援をしています。また導入後の保守・サポートも提供しています。

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