構築事例:oVirtを利用した仮想基盤(クラスタ)構築
oVirtを利用した仮想基盤を構築しました。VMware製品の価格高騰による運用コストの増加に加え、運用の属人化やサーバの保守期限などの課題を抱えていました。そこで仮想基盤をVMwareからoVirtへ移行し、さらにクラスタ構成とすることで可用性の高いシステムを実現しました。
- お客様が悩まれていた課題
- VMwareの価格高騰により、仮想基盤の運用コストが大幅に増加していた
- 現行サーバの保守期限が迫っており、サポート延長もできない
- 他社が導入したメールシステムの継続運用に不安があった
- +導入企業プロフィール
- ★
導入企業業種
製造
ユーザー規模
約350ユーザ
利用OS
AlmaLinux 9
導入月
2025年2月
デージーネットが提案した「oVirtを利用した仮想基盤(クラスタ)構築」
oVirtを使用した仮想基盤への移行を提案
oVirtは、KVMをハイパーバイザーとして利用することができるオープンソースの仮想基盤です。Webベースで仮想環境の統合的な管理ができるだけでなく、KVMだけでは実装できなかった、複数サーバを使用した仮想環境や障害発生に備えたシステムを構築することができます。その他にも、仮想マシンのライブマイグレーションやテンプレート管理にも対応しており、企業の仮想化ニーズに応える十分な機能を提供しています。
運用コストの削減
お客様はもともと、仮想基盤はVMwareを利用していましたが、2023年に米国のBroadcom社がVMware社を買収した影響で、VMware製品の価格が高騰していました。そこで今回は、ライセンス費用の削減のため、VMwareからoVirtへ移行することをご提案しました。またoVirtでは、専用の管理サーバを不要とする構成にすることができるため、ハードウェアコストの削減にもつながるようにしました。
HAクラスタ構成による共有ストレージの冗長化
単一障害点を排除し、システム全体の可用性を向上させるため、oVirtの共有ストレージとしてNFS(ファイル共有システム)を使用し、2台構成のHA(高可用性)クラスタで冗長化することをご提案しました。これにより、共有ストレージに障害が発生した場合でも、自動フェイルオーバーの機能により仮想マシンの稼働継続を実現することができるようにしました。
セルフホストエンジン構成による管理サーバの可用性向上
oVirtの標準的なシステム構成では、よりメリットが多いとされるセルフホストエンジン構成を選択することができます。セルフホストエンジン構成とは、oVirtの管理サーバ(oVirt Engine)を、oVirt自身が管理する仮想環境内に配置して起動できる構成のことです。これにより、oVirt Engineのためのサーバハードウェアを準備する必要がなくなり、かつoVirtのHA機能により管理サーバ自体の可用性も確保することができるようにしました。
導入にあたっての工夫
導入にあたって、以下を工夫しました。
現行運用のヒアリングとマニュアル整備による移行後の運用負担軽減
長年VMwareで運用していた既存システムでは、ユーザ部門がどのような運用操作をしているかが属人化しており、操作内容が整理されていませんでした。そこで、今回の設計段階で現行の運用を詳細にヒアリングし、新システムで何が変わるかを一つずつ整理しました。移行後に戸惑わないよう、必要なポイントをマニュアル化し、運用負担の軽減と引継ぎしやすい状態を目指しました。
VMware特有の設定の棚卸と新環境での運用最適化
現行システムには、設計意図が不明瞭なVMware特有のネットワーク設定やストレージ設定が多く含まれていました。こうした設定はトラブルの温床になる可能性があるため、設計フェーズで一つずつ棚卸を行い、oVirt環境では運用が分かりやすくなるように再整理しました。各ネットワークの役割と設定値を基本設計書に詳細に記載することで、構築後も属人化を防ぎ、誰でも管理しやすい状態を実現しました。
段階的な移行リハーサルによる本番切替リスクの最小化
仮想基盤だけでなく、メール(約350ユーザ)やDNS(約100ゾーン)といった重要なサービスを移行するため、切替時のリスクが高いプロジェクトでした。そのため、現行サービスに影響しない範囲で段階的にリハーサルを繰り返し、データ移行手順の確認と作業時間の短縮を図りました。これにより、本番切替時のダウンタイムを最小化し、ユーザへの影響を抑えた安全なリプレースを実現しました。
導入後の結果
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内容: | 2025年5月20日に公開されたRHEL10の新機能や変更点についてご紹介します。 |
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