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電子帳票システムとは

電子帳票システムとは、企業で扱う見積書、発注書、請求書、伝票、納品書などの帳票を電子化することにより、ビジネスプロセスの効率化、正確性の向上を図るシステムのことである。従来の取引では、帳票を紙で印刷した後に郵送/保存したり、PDFに変換しメールに添付してやり取りする方法が一般的であった。しかし、こうした管理の方法では「Excel等の表計算ソフトを使った帳票作成は、手間や時間がかかる」「送料やコピー用紙代のコストがかかる」「保管スペースに限界がある」などといった問題が発生しやすく、企業にかかる負担が大きいという課題があった。電子帳票システムはこれらの課題を解決するソリューションとして、近年注目されている。

電子帳票システムが注目されている背景

近年、以下のような観点から、電子帳票システムの導入を検討する企業が増えている。

ペーパーレス化の推進

業務改善や効率的なデータ活用のため、各企業では業務プロセスをデジタル化・自動化し、ペーパーレス化を実現することが求められている。テレワークの普及に伴い、従業員が自宅などオフィス外で業務を行う機会が増えたことで、プリンターやスキャンを必要とする従来の紙ベースの対応が難しくなるケースも出てきた。これらの状況に対応するため、紙媒体の電子化への需要が高まっている。また、電子化された書類の申請・承認に迅速かつ柔軟に対応するため、紙ベースの稟議から、電子署名を用いたオンラインのワークフローシステムに変更する企業も増えてきている。電子帳票システムは、こうしたビジネスの変革に対応するための効果的なツールとして特に注目を集めている。

電子帳簿保存法・インボイス制度への対応

電子帳簿保存法とは、国税庁により制定され1998年から施行されている、国税関係書類を電子データで保存することを認める法律である。この法律は、紙ベースによる従来の保管方法で発生しがちな、場所の確保やコストの問題を改善する目的で制定され、時代の変化に合わせ見直しがされてきた。2022年1月の改正に伴い、電子取引における各種帳票については、紙での保存は認められず、電子データで一定期間保存しておくことが義務付けられた。また、2023年10月からはインボイス制度への対応として、適格請求書/領収書の発行や保存が必要となったことから、紙の帳簿を廃止し、各要件を満たす電子帳票システムに移行する企業が急増している。

セキュリティ強化

従来の紙による帳票管理では、紛失・盗難による情報漏えいや書類の改ざんといったリスクを招く恐れがあった。また、多くの業界で、データ保護やプライバシーに関する法的規制、コンプライアンスの要件が重視されるようになり、企業の評判や信頼性を維持する上で欠かせない指標となっている。そのため、重要な情報が多く含まれる帳票書類の管理を適切に行えるかが問われ、電子帳票システムはその一環として導入されている。

電子帳票システムの特徴とメリット

電子帳票システムを導入することで、以下のようなメリットがある。

業務効率化

紙の帳票では、書類の作成、印刷、封入、発送といった作業にかなりの時間と手間がかかるというデメリットがある。電子帳票システムを導入することで、データの自動化やリアルタイムな更新が可能となる。手作業に比べて書類の作成にかかる負担を大幅に軽減し、印刷や発送の手間もほぼ不要となる。さらに、担当者と管理者間でのデータの共有により、帳票の入力ミスやエラーによる差し戻しも減り、正確かつ効率的に業務を進めることができる。 また保管から廃棄に関しても一元管理できることから、紙の帳票とは異なり、保存期間終了後の処理もデータを削除するのみで完了できるというメリットもある。

コスト削減

紙の帳票を無くすことで、印刷コスト、保管スペースの確保、郵送コストなどを総合的に削減することができる。また、全体を通して作業にかかる時間も大きく減らすことができ、人件費の削減にもつながる。

内部統制の強化

ほとんどの電子帳票システムでは閲覧や編集の権限を制御することができ、部署やグループ単位での範囲の指定や、一般社員が閲覧できないようにするといった制御が可能である。タイムスタンプ機能や操作ログ管理機能などが搭載されているものもある。電子帳票システムを利用して内部統制を強化することで、情報漏えいのリスクを抑えたり、帳票の改ざんを防ぐことができる。

電子帳票システムの主な機能

電子帳票システムでは、主に以下のような機能を備えている。

  • 帳票の作成

    請求書や見積書をパソコン上で作成できる基本的な機能である。他の業務ツールから必要なデータをCSV等で抽出し、レイアウトや内容をカスタマイズしたり、フォームやテンプレートを利用して作成することができる。一般的な文書ソフトに比べ、レイアウトが自由に選べ、ユーザの希望に沿った形で作成できることが特長である。PDF、HTML、Excelなど多様なフォーマットでの出力に対応している。

  • 紙の帳票の電子化

    既存の紙やPDFの帳票を電子化し、システムに取り込む機能である。スキャナを使用して紙文書を取り込み、データとして編集、一括管理することが可能である。

  • 帳票の配信・共有

    帳票データを配信・送付する機能である。メールにファイルを添付し送信したり、ダウンロードURLを記載して取引先などへ共有することができる。郵送やFAXでの送付に比べ、迅速かつ確実に、コストも抑えて共有することができる。

  • 帳票の保存・管理

    データベース内に帳票を保存し、容易に管理できるようにする機能である。帳票の種類ごとや顧客別に分類して登録が行え、日付やキーワード、カテゴリー、タグなど、細かく指定した条件で検索ができる。そのため、帳票を探す際も、膨大な量の中から必要なデータを簡単に見つけ出すことができる。

  • セキュリティ対策

    個人情報・機密情報を扱うことが多い帳票管理において、非常に重要な機能である。アクセス権限の制御、ユーザ認証、データの暗号化、操作ログの監視など、データのセキュリティを強化するための機能が多層に備わっているものが多い。

  • 外部ツールとの連携機能

    電子帳票システムでは、他の業務ツールとの連携をサポートするものが多い。API経由で、外部データベースや基幹システム、営業管理ツールなどとデータを共有し、自動的に帳票を作成することができる。手動での入力によるミスの防止につながり、手間を省いて帳票を作成することができる。

導入する際の注意点とポイント

電子帳票システムを導入する際は、以下の注意点を事前に確認し、複数のツールの中から最適なツールを選定する必要がある。

セキュリティ対策は万全か

帳票データには、取引先の機密情報や社外秘の情報が多く含まれている。これらの機密性を高め、プライバシーを保護するうえで、データを適切に管理することが非常に重要である。例えば、外部からのサイバー攻撃に備えるためデータを暗号化する、内部の不正防止のためファイルのアクセス制限・閲覧制限を設定するなどの対策が有効である。また、各種法律に準拠した方法で管理が行われているかどうかも検討する必要がある。

自社が求めている機能があるか

各社からさまざまなサービスが提供される中で、帳票の作成や配信などの特定の機能に特化したものもあれば、会計/経理に必要なあらゆる項目に対応するなど機能が充実しているタイプもある。機能が豊富なツールでも使いこなせなければ意味が無いため、電子化した帳票で解決したい課題が何かを先に明確にし、それに対応した機能を持つツールを選定することが大切である。例えば、電子化した帳票で社内の申請・承認の業務を効率化したい場合は、ワークフローの機能が付いたツールを選ぶのがおすすめである。

導入・運用コストは見合っているか

電子帳票システムの導入には、ライセンス料、ハードウェア、サポート費用などのコストがかかるものが多い。そのため、自社の予算に見合った適切なツールを選択する必要がある。また、最近はクラウドサービスの電子帳票ツールも人気だが、ユーザ数や配信通数ごとの従量課金制をとっているものも多い。多数の利用者を抱える企業や毎月大量の帳票を管理する企業の場合、思いのほか高い運用コストがかかる可能性があるため、その点も考慮しておく必要がある。

システム障害やデータ保存期間

万が一、障害や事故、災害などが発生した際も安心して運用するため、データ損失などのトラブルに備え、定期的なデータバックアップと復元方法を策定しておく必要がある。また、法的要件に従いデータの保存期間を定め、不要なデータを適切に廃棄するポリシーも設定しておく必要がある。

運用環境の整備・マニュアル化

電子帳票システムを導入する前に、機能を最大限に活用できる環境であるか見直す必要がある。従来の帳票管理に慣れてしまっている従業員もいるため、スムーズな変更を行うためには、運用環境の整備も重要である。社員向けの教育やトレーニングの実施、社員が実際に利用する際に参考にするマニュアルの作成などの準備を行い、社員が十分にシステムを理解し活用できるように社内の体制を整えることも大切である。

デージーネットの取り組み

デージーネットでは、ローコード開発プラットフォームのOSSであるプリザンターと、エクセル等のドキュメントを生成することができるOSSのCarboneJSを連携させ、見積書などの帳票出力までをOSSのみで対応できるか検証を行った。「CarboneJS調査報告書」ではその詳細をまとめて解説しており、資料は無料でダウンロード可能である。また、プリザンターとCarboneJSを連携させた帳票出力機能の詳細な情報については、次の記事にも掲載している。

なお、プリザンターのバージョン1.3より実装された「プロセス機能」を使えば、Web画面上でワークフローシステムも実現することができる。

これらの機能を使うことにより、OSSだけで効率的に帳票を管理する仕組みを導入することができる。OSSを使えばライセンス費用を気にせず利用することができ、クラウドサービスのように月額料金もかからない。デージーネットは、プリザンターの認定パートナーとして、販売/提案、教育、導入/開発、サポートの実績があり、ノウハウを活かした技術サポート及び、独自のマニュアル作成など必要に応じた技術サービスを提供している。

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