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IoTプラットフォームとは

IoTプラットフォームとは、IoTに必要な機能を提供するための基盤(プラットフォーム)の総称です。IoTとは、Internet of Thingsの略で、モノのインターネットを意味しています。IoTでは、ホーム家電(スマート家電)から、工場の生産管理を行う装置まで、様々な「モノ」がネットワークに接続されます。そして、ネットワークにつながる「モノ」から収集されたデータによって、新たなサービスや価値が生まれています。このように、「モノ」からデータを収集する設備に始まり、ユーザがその情報を使って何かのアクションや意思決定をするための設備までの幅広い領域のことを、IoTプラットフォームと呼びます。

現在、世界の主要なITメーカーの他にも、AWSやGoogle Cloud Platform、Microsoft AzureなどのクラウドベンダーがIoTプラットフォームを提供しています。日本の国内のベンダーでも、日立のLumada、NECネッツエスアイのSymphonict、NTTコミュニケーションズ株式会社のThings Cloud、ソフトバンクIoTプラットフォームなど、メーカー系ベンダー、通信系ベンダーが特徴あるIoTプラットフォームのサービスを展開しています。

IoTプラットフォーム構成のポイントと要素

IoTプラットフォームは、図のような7つのパートからできています。

IoTプラットフォーム

IoTプラットフォームの構成イメージ

IoTエンドポイント

IoTエンドポイントとは、情報を取得する端末や機器のことで、IoTデバイスとも呼ばれます。IoTエンドポイントの例として、センサー、カメラ、ホーム・ターミナル、スマート・メーター、家電、モバイル機器などがあり、様々な種類のデバイスやソフトウェアがIoTエンドポイントの役割を果たしています。

IoTエンドポイントに必要な要件は、何らかの方法で取得した情報をデジタル化し、IoTインフラを介して受け渡しできることです。汎用的なデバイスの場合も、特別なデバイスの場合もあります。

また、場合によっては数千~数万台規模にもなるIoTエンドポイントの状態を正確に把握するために、IoTエンドポイントの稼働状況を監視する設備も必要になります。監視システムでは、多数の対象を監視するための分散構成や一括での登録などの機能を搭載したIcinga2や、監視対象を自動で登録できるPrometheusなどが利用されています。

IoTインフラ

IoTインフラとは、センサー等のIoTエンドポイントをインターネットに接続するための設備で、「エッジ」とも呼ばれます。遠隔にあるIoTインフラからデータを収集するために、携帯ネットワークや無線ネットワークなどの回線をIoTインフラとして利用することが多いようです。例えば、携帯キャリアやMVMOの各社は、IoT向けの通信サービスを提供しています。

センサーからのデータを送る場合には、データ量が非常に少ないため、通信速度が低速で低料金の契約が利用できます。逆に、カメラのようにデータ量が多いデバイス向けには、適切なデータ量で制限される定額サービスを利用することができます。

なお、通常のインターネット回線を利用する場合は、セキュアな認証の仕組みを作るためFreeRADIUSやOpenXPKIなどのソフトウェアを利用することができます。

IoTネットワークインフラ

IoTネットワークインフラは、インターネットを構成する、ルータ、セキュリティデバイスなどのインフラです。一般的なインターネットの接続設備と何ら変わりはありません。ただし、多数のセンサーなど、大規模なIoTエンドポイントからリアルタイムにデータを集める際には、高速なネットワークインフラが必要になる場合があります。

IoTネットワークインフラでは、セキュリティ的なリスクも指摘されています。外部からの不正アクセスに対する対策が不十分だと、IoTエンドポイントを勝手に操作されたりすることで大きな被害が出ることが懸念されています。危険な場所にあるデバイスなど、IoTエンドポイントの種類によっては、人の命に関わる事故につながったりする危険もあります。さらに、個人情報保護についても配慮する必要があります。

IoTネットワークインフラのセキュリティは、IoTプラットフォーム全体をセキュアに保つために非常に重要な要素です。通信経路の暗号化、IoTエンドポイントに対するアクセス制御や認証の仕組みが必須です。認証では、単純なログイン認証だけでなく、認証局と証明書を使った高度な認証が使われる場合があります。

IoTデータ収集プラットフォーム

IoTデータ収集プラットフォームは、エンドポイントから取得し収集したデータを、蓄積し管理するための設備です。データ量がそれほど多くない場合には、汎用的なストレージ、オブジェクトストレージをIoTデータ収集プラットフォームとしてそのまま利用することが可能です。膨大なデータ量を管理する場合には、NoSQL、負荷分散型のデータベース、高速な全文検索エンジンなどに、データを保管する必要があります。そのため、IoT向けに様々なソフトウェアが登場しています。

なお、データ量に関わらず、IoTでは次のような理由からリレーショナルデータベースはあまり利用されません。

  • 収集したデータには相関関係(リレーション)がないこと
  • リレーショナルデータベースは、スケーラビリティに問題がある
  • リレーショナルデータベースは、コンテナ型仮想化などでは使いにくい

代わりに、IoTデータ収集プラットフォームでは、MongoDBGridDBなどNoSQL型のデータベースやKVS(key Value Store)などが利用されます。

こうしたデータベースには、コンテナ環境でデータの冗長性を確保するための仕組みや、負荷分散を行うための仕組みも実装されています。

IoTデータ処理プラットフォーム

収集したIoTデータを加工・分析したり、統計処理するためのプラットフォームです。データ処理プラットフォームとしては、次のような要素を考慮する必要があります。

データ解析プラットフォーム

データ解析プラットフォームでは、データの量に応じたデータの分析基盤を用意する必要があります。データ量がそれほど多くない場合には、PCや仮想サーバ1台でも充分かもしれません。しかし、分析するデータの量が多い場合には、データを処理するCPUの数を増やす必要があり、複数のコンピュータを使った並列コンピューティングの仕組みや、クラウド上の高速な計算機資源の利用なども考慮する必要があります。このようなデータ解析プラットフォームでは、大容量のデータに対応可能なHadoopやApache SparkなどのOSSを使うことができます。

データの可視化

収集したデータを可視化するツールです。ダッシュボードにグラフィカルに表示したり、レポートを作成したりするツールが利用されています。このようなツールでデータを可視化することで、データのトレンドを調査したり、様々な検討をすることが容易になり、業務の効率を改善することができます。収集するデータに応じて、プログラムを自作することも少なくありませんが、プログラムの作成には時間がかかってしまいます。汎用的なBIツールを使うことで、短時間でデータを把握することができます。

以下のページでは、膨大な量のIoTデータを把握・分析するために、効率よく処理するGridDBとダッシュボードツールのGrafanaを提案した事例を紹介しています。

スケーラビリティ

各種のクラウドサービス、仮想化技術などを使って、管理するデータが増加した時にも拡張できるような処理基盤を構築する例も増えています。クラウド基盤や仮想化技術を利用する場合、プライベートな環境でも構築できるOpenStackのようなソフトウェアを選ぶとセキュリティ面でも安心です。

機械学習プラットフォーム

収集したデータを何らかの機械学習アルゴリズムで処理するためのプラットフォームです。収集したデータを活用して、機械学習モデルを構築したり、ソフトウェア開発を行なうために利用します。この分野では膨大なデータを分散して処理するため、従来の仮想化に比べて「少ないリソースで動作する」「ポータビリティが高い」「構成管理がしやすい」といった理由から、コンテナ型仮想化の技術が注目されています。コンテナ型仮想化のインプリメンテーションとしては、DockerKubernetesがよく知られています。また、DockerやKubernetesを効率よく管理するためのツールとして、PortainerGitLabといったソフトウェアがよく使われます。

なお、機械学習の分野では、Googleが開発したディープラーニングを始めとして、人工知能の技術を活用した様々なツールをオープンソースソフトウェアとして入手することが可能です。

IoTクライアント

エンドポイントから収集したデータを分析した結果を表示したり、データを元にアクションを起こしたりするのに必要なクライアントです。一般的な、PCの場合もあれば、スマートフォンやタブレットなどが使われることもあります。また、専用のPCアプリケーション、スマホのアプリ、ハードウェアが用意される場合も少なくありません。

IoTプラットフォームサービスの種類

IoTプラットフォームのそれぞれのパートで使われている技術は、IoT専用の特別なものではなく、汎用的な技術を使うこともできます。一方、様々なベンダーからは、こうした技術をパッケージングした製品やサービスが提供されています。

海外ではGoogleやAmazon、国内では日立やソフトバンク、富士通など、様々なベンダーがIoTビジネスの市場に参入し、サービスを提供しています。そして、各ベンダーの提供範囲は様々です。例えば、IoTプラットフォームのことを、「モノ」から情報を収集するネットワークを指すベンダーもあれば、「モノ」から収集したデータを解析する基盤を指しているベンダーもあります。つまり、特定の領域だけを扱うベンダーもあるのです。

さらに、プラットフォームの規模もベンダーによって様々です。世界中からデータを収集するのに適したものもあれば、工場の機械のセンサーからデータを収集するローカルなものまであります。サービスの対象となる業種や業界も、自動車などの製造業から、医療や農業、物流まで様々です。最近は、企業のDX推進や現場の業務改善のためにIoTプラットフォームを利用する場面も増えており、今後もさらにその進展が加速していくと考えられています。

IoTプラットフォームの選び方

ユーザが持つ課題はさまざまなため、クラウド事業者やメーカーが提供するサービスも多種多様です。しかし、こうしたサービスに契約すれば、すべての課題が解決されるというほど簡単ではありません。自社の課題に対応するためには、独自のインフラを構築することが必要になる場合も少なくありません。むしろ、世界的には、無料で利用可能なオープンソースソフトウェアなどの汎用的なソリューションを連携してコストを削減し、独自のIoTプラットフォームの環境を実現しているケースも多いようです。

そもそも、IoTの構成要素のほとんどの分野で、オープンソースソフトウェアが主導的な役割を果たすと考えられています。まず、インターネットのインフラはもっとも古くからオープンソースソフトウェアが使われてきた分野です。またクラウドでも、今後IoTが伸びていくにあたって、OpenStackなどの仮想基盤技術でオープンソースソフトウェアが頻繁に使われることが予想されます。Amazonなどのクラウド基盤も、オープンソースソフトウェアで構成されています。さらに、それに接続するIoTインフラでも、オープンソースソフトウェアの活用は必須となります。

以下のページでは、IoTプラットフォームでよく使われているオープンソースソフトウェアと選び方を紹介しています。ここで紹介しているソフトウェアのほとんどは、デージーネットで構築や運用の実績のあるソフトウェアです。

デージーネットの取り組み

IoT・ビッグデータで必要なコンピュータクラスタを構築するためには、このような様々なオープンソースソフトウェアが必要です。デージーネットは、オープンソースソフトウェアの専門家として、先進的なIoT・ビッグデータのインフラ構築、システムの設計・改善などのコンサルティングに取り組んでいます。

また機械学習基盤でよく使われているDocker/Kubernetesの導入や、導入に関するコンサルティングにも力を入れています。

デージーネットで構築サービスを提供したお客様には、導入後支援サービスとして、Open Smart Assistanceを提供しています。Open Smart Assistanceサービスでは、「作ってから使い終わるまで」をコンセプトに、導入後も継続して運用をサポートしています。これは、ソフトウェア単体のサポートではなく、LinuxなどOSSを使ったシステム全体が安定稼働するためのサポートです。OSSやソフトウェアの利用方法に関するQ&Aの受付や障害対応、ソフトウェアの脆弱性などのセキュリティ情報の提供を行っています。

なお、無料資料ダウンロードのページでは、GridDB、Kubernetesなどの資料を掲載しています。インストール方法や基本の使い方など、詳細について確認することができます。

【カテゴリ】:IoT  

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