DRBD SDS [ストレージのサイズを自由に拡張]
今月の気になるオープンソース情報(2017年1月号)
OSS研究室 大野 公善
今回は、DRBD SDSをご紹介します。
DRBDは、2台のサーバ内のディスクをミラーリングするためのソフトウェアです。デージーネットでも冗長化システムを構築する時にはDRBDをよく使っています。このDRBDが進化して「DRBD SDS」として利用できるようになりました。
SDS(Software Defined Storage)とは、従来、専用ハードウェアで実装していたストレージ機能を、サーバ上のソフトウェアで実装することを言います。SDSでは、複数のサーバに直接接続されているハードディスクをまとめてひとつの大きいストレージに見せ、それぞれのサーバから共有するといった機能が提供されます。
DRBD SDSは、DRBDバージョン9から使用できるようになった新しい機能です。DRBD SDSでは、複数台のサーバ上のハードディスク領域を束ねてひとつの大きい空間として定義し、その空間にディスクボリュームを自由自在に作成することができます。作成されるディスクボリュームは、従来のDRBDの機能により完全に冗長化することができます。
また、DRBD SDSではシステム運用中にサーバ増設ができるようになっています。システムの立ち上げ時には最小限のサーバ構成でDRBD SDSを構成し、システム成長に伴いサーバを追加していくといったスケールアウトが可能となっています。
DRBD SDSでは、drbdmanageという便利な管理ツールが準備されています。
drbdmanageコマンドを使用すると、サーバの追加・削除、ディスクボリュームの作成・削除、サーバやディスボリュームの一覧表示等を行うことができます。
DRBD SDSはストレージのサイズを自由に拡張できるという理由から、仮想環境のストレージとしてよく利用されます。仮想環境では、作成する仮想マシンの数が増えていくと、必要になるストレージ領域も増えていきます。このような環境でDRBD SDSを利用すれば、仮想環境のストレージ拡張を容易に行うことができるようになり、柔軟なシステムを構築することができます。
代表的な仮想環境構築ソフトウェアであるOpenStackにおいても、ストレージとしてDRBD SDSを利用できるようになっています。
デージーネットでは、DRBDを使用したクラスタシステムを数多く構築してきましたが、DRBD9からDRBD SDSが使えるようになり、さらにDRBDの用途が広がりました。OpenStackとの連携は、クラウド環境を完全冗長構成にすることができるようになりますので、特に注目しています。