Red Hat Enterprise Linuxとは
Red Hat Enterprise Linuxとは、Red Hat社によって開発、販売されている商用向けのLinuxディストリビューションである。略してRHELと表記されることもある。「Red Hat Enterprise Linux」という名前でのリリースは2002年3月のRed Hat Enterprise Linux 2.1が最初となる。前身のRed Hat Linuxは1994年にリリースされており、そこから数えると30年以上の歴史を持つディストリビューションである。
RHELは有償のディストリビューションであり、利用にはサブスクリプションの購入が必要である。かつてはソースコードが同社サイトで一般公開されており、無償で入手・利用することができたが、現在はこのリポジトリを停止し、ソースコードへのアクセスを契約者のみに限定している。また、サブスクリプションの規約にて、ソースコードの再頒布を禁止することも宣言している。
サポート
RHELには、パッケージのアップデート、Q&Aなどの有償サポートが付いている。サポート契約(サブスクリプション契約)中は追加料金無しで最新版の提供を受けられる。また、複数のサポートレベルと期間が用意してあり、Webベースまたは電話による24時間365日のサポートを受けることも可能である。
ライフサイクル
最新版のRHEL10.0では、基本的にはRHEL9と同様、以下のようなライフサイクルとなっている。
- フルサポートフェーズ
リリース後5年間はフルサポートフェーズとなり、半年ごとに10.10までマイナーリリースが提供される予定である。セキュリティエラータアドバイザリ、バグ修正エラータアドバイザリ、その他のエラータアドバイザリとしてアップデートパッケージが提供される。マイナーリリースには新規のハードウェアへの対応やソフトウェアの機能拡張が含まれている。
- メンテナンスサポートフェーズ
フルサポートフェーズが終わると、その後5年間はメンテナンスサポートフェーズとなる。アップデートパッケージは引き続き提供されるが、新規のハードウェアへの対応やソフトウェアの機能拡張は行われない。
メンテナンスサポートフェーズ終了後は、Extended Life-cycle Supportというアドオンを購入することでさらに3年間アップデートパッケージの提供を受けることができる。
RHEL10からの新機能
2025年5月にリリースされたRHEL10.0では、以下のような機能が追加されている。
cockpit-files
RHELでは、サーバ管理用WebインタフェースとしてCockpitを使用している。cockpit-filesは、RHEL10から新たに追加されたCockpitのプラグインである。cockpit-filesを使用すると、WebインタフェースからRHEL10マシンのファイルの編集などができる。管理者権限を使用して操作することも可能で、コマンドラインの利用に不慣れな場合でも設定変更作業などを行いやすくなっている。
コマンドラインアシスタント
コマンドラインアシスタントは、RHELに関する質問やトラブルシュート方法などの問い合わせを、生成AI を利用して回答する機能である。質問はシェル上でコマンドを実行することで行うことができる。コマンドラインアシスタントを利用するためにはサブスクリプション登録やインターネット通信が必要である。
なお、コマンドラインアシスタントでの内容は、Red Hat社によってシステムの改善などに利用されるため、機密情報や個人情報などは入力しないようことをおすすめする。また、回答は不正確な場合もあるため、適宜回答の内容を吟味した上で利用する必要がある。
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RHELと互換性を持つLinuxディストリビューション
RHELは商用Linuxとして最も人気の高いディストリビューションである。そのため、RHELに含まれるソフトウェアから商標・商用ソフトウェアを取り除いてオープンソースのみで構成し、RHELとの完全互換を目指したOS(クローンOS)が複数存在する。
かつてはこうしたRHELのクローンOSとして、CentOSがスタンダードであった。しかし、2021年12月でCentOSのサポートが終了したため、AlmaLinuxやRocky Linuxなど、RHEL互換のOSとしてCentOSの代替となるLinuxディストリビューションが開発されている。
なお2025年5月のRHEL10のリリースに伴い、同月にAlmaLinux10が、翌6月にRocky Linux 10がリリースされている。RHEL9のリリース時と同様、AlmaLinuxとRocky Linuxは他のRHEL互換OSより一足先にバージョンアップがされている。ただし、RHEL10で追加されたコマンドラインアシスタントの機能は、AlmaLinuxやRocky Linuxでは利用できない。
デージーネットの取り組み
デージーネットでは、Red Hat Enterprise Linuxを利用したシステムを多数構築した実績がある。また、Red Hat Enterprise Linuxのインストール方法や特徴について調査を行い、その結果を「Red Hat Enterprise Linux 10調査報告書」に掲載している。調査報告書はホームページから無料でダウンロード可能である。
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